2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』をきっかけに、豊臣秀吉・秀長兄弟による九州平定や、その前後に九州で活躍した武将へ興味を持った人もいるのではないでしょうか。
大友宗麟、龍造寺隆信、島津義久などが勢力を争った戦国九州を学ぶうえで、ぜひ知っておきたい人物の一人が鍋島直茂です。
鍋島直茂は1538年、鍋島清房の次男として現在の佐賀市にあった本庄館で生まれました。
龍造寺隆信のもとで武功を重ね、1570年の今山の戦いでは大友氏の軍勢への夜襲を主張して勝利に貢献します。
その後は龍造寺氏の重臣として勢力拡大を支えながら、隆信の死後には肥前の領国経営を担う立場へ変わっていきました。
鍋島直茂を初めて学ぶときに、最も混同しやすいのが龍造寺隆信との関係です。
二人は単なる「主君と家臣」ではありません。
もともと従兄弟であり、1556年に隆信の母・慶誾尼が直茂の父・清房へ再嫁したことで、義兄弟にもなりました。
さらに注意したいのが、「鍋島直茂が龍造寺家を乗っ取って初代佐賀藩主になった」という単純な理解です。
直茂は佐賀藩の「藩祖」と位置づけられる人物で、初代藩主は息子の鍋島勝茂です。
隆信の死後も龍造寺政家や高房は存在し、豊臣秀吉による領国支配の再編や、徳川政権成立までの長い流れの中で、徐々に鍋島氏が実権を握っていきました。
鍋島直茂について知りたい人は、次のようなポイントを頭の中に入れておくと人物像を整理しやすくなります。
- 鍋島清房の次男として本庄館に生まれた直茂の出発点
- 龍造寺隆信とは従兄弟であり、のちに義兄弟にもなった複雑な家族関係
- 龍造寺氏の重臣として各地の戦いに参加した青年・壮年期
- 1570年の今山の戦いで見せた決断力と、大友軍への夜襲
- 肥前から筑後・肥後などへ勢力を広げていく龍造寺隆信への補佐
- 1582年、本能寺の変直後の羽柴秀吉とすでに交わしていた直接の連絡
- 1584年の沖田畷で隆信を失ったあと、直茂にのしかかった領国維持の責任
- 1587年の豊臣秀吉による九州平定と、中央政権から高まっていった直茂への評価
- 龍造寺政家の隠居後、秀吉の命を受けて担った肥前の領国経営
- 文禄・慶長の役で朝鮮半島へ渡り、長期間にわたって続いた国外での軍役
- 関ヶ原で息子・勝茂が西軍側に加わったことで迎えた鍋島家存続の危機
- 龍造寺氏から鍋島氏へ移っていった佐賀の政治的な中心
- 息子・勝茂と進めた佐賀城・城下町づくりと、戦国から江戸への転換
- 後世の『葉隠』にも受け継がれた佐賀藩祖としての記憶
この中でも注目したいのが、1582年の豊臣秀吉との関係です。
文化遺産オンラインには、本能寺の変直後に秀吉が直茂へ送った書状が残されています。
隆信がまだ存命中であるにもかかわらず、直茂は秀吉と以前から連絡を取り、長崎で入手した南蛮帽子まで贈っていました。
この史料を見ると、「隆信が死んだから突然、直茂が中央政権へ近づいた」という単純な流れではなかったことがわかります。
一方で、これだけを根拠に直茂が早くから主家を奪おうとしていたと決めつけるのも早計です。
隆信を支える重臣でありながら、自分自身でも外部との関係を築いていた人物として見るほうが自然でしょう。
結論から言うと、鍋島直茂を初心者が学ぶなら、まず人物入門書で生涯をつかみ、そのあと歴史小説や龍造寺隆信との関係を詳しく読むのがおすすめです。
さらに龍造寺氏から鍋島氏への権力移行、九州全体、『葉隠』で後世に伝えられた人物像へ進むと、「龍造寺隆信の軍師」という呼び名だけでは説明できない直茂が見えてきます。
- 短い本で鍋島直茂の全体像をつかみたい人は、『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』
- 直茂の人生を長編歴史小説で読みたい人は、『武士道 鍋島直茂』
- 龍造寺隆信との主従・義兄弟関係を深く知りたい人は、『戦国佐賀の武勇 龍造寺隆信と鍋島直茂』
- 龍造寺氏から鍋島氏への権力移行を考えたい人は、『史伝 鍋島直茂 「葉隠」の名将』
- 大友・龍造寺・島津など九州全体から直茂を見たい人は、『戦国武将列伝11 九州編』
- 後世の佐賀藩が直茂をどう記憶したのか知りたい人は、『新校訂 全訳注 葉隠(上)』
- 龍造寺家兼や有馬晴信など周辺人物を音声で楽しみたい人は、Audible『戦国武将伝 西日本編』
この記事では、鍋島直茂を初めて学ぶ人に向けて、「おすすめ本・Audible」「読む順番」「選び方」をまとめます。
- 鍋島直茂の本は、初心者なら「龍造寺隆信との関係」と「佐賀藩成立までの変化」で選ぶ
- 鍋島直茂のおすすめ本・Audible7選を紹介
- まず96ページで鍋島直茂の全体像をつかむなら、『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』がおすすめです!
- 龍造寺隆信を支えた時代から関ヶ原まで物語で追うなら、『武士道 鍋島直茂』がおすすめです!
- 龍造寺隆信と鍋島直茂を「主君と軍師」だけで終わらせないなら、『戦国佐賀の武勇 龍造寺隆信と鍋島直茂』がおすすめです!
- 「鍋島家による乗っ取りだったのか?」を考えるなら、『史伝 鍋島直茂 「葉隠」の名将』がおすすめです!
- 大友・龍造寺・島津の中で鍋島直茂を見るなら、『戦国武将列伝11 九州編』がおすすめです!
- 「直茂本人」ではなく「後世に残った直茂」を読むなら、『新校訂 全訳注 葉隠(上)』がおすすめです!
- 龍造寺家兼や有馬晴信など周辺人物を音声で楽しむなら、Audible『戦国武将伝 西日本編』がおすすめです!
- 初心者におすすめの読む順番はこれ!
- 「紙の本」「Kindle」「Audible」はどれを選べばよいか…?
- 大河ドラマ『豊臣兄弟!』や今山・佐賀城・徴古館とあわせて鍋島直茂を学ぶ価値とは
- 鍋島直茂の本選びで迷ったら、まずこの1冊!
- 【まとめ】鍋島直茂を初心者が学ぶなら、「名軍師」の先にある80年の変化を読みましょう!
鍋島直茂の本は、初心者なら「龍造寺隆信との関係」と「佐賀藩成立までの変化」で選ぶ
鍋島直茂の本を選ぶときは、最初に「読む目的」を決めると迷いにくくなります。
直茂は、龍造寺隆信を支えた重臣として読むのか、秀吉・家康の時代を生き抜いて佐賀藩の基礎を築いた人物として読むのかで、選ぶ本が変わります。
鍋島直茂について知りたい人の目的を、大きく7つに分けてみました。
| 目的 | 向いている本・Audible | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| ①短い本で直茂の全体像をつかみたい | 『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』 | 96ページで青年期から佐賀藩祖となるまでを追える |
| ②直茂の人生を歴史小説で読みたい | 『武士道 鍋島直茂』 | 龍造寺時代から朝鮮出兵・関ヶ原まで長編小説で楽しめる |
| ③龍造寺隆信との関係を深く知りたい | 『戦国佐賀の武勇 龍造寺隆信と鍋島直茂』 | 主君と家臣、義兄弟でもあった二人を2025年刊の本で読める |
| ④龍造寺氏から鍋島氏への移行が気になる | 『史伝 鍋島直茂 「葉隠」の名将』 | 「乗っ取り」か「禅譲」かという大きな疑問に焦点を当てている |
| ⑤九州全体の中で直茂を位置づけたい | 『戦国武将列伝11 九州編』 | 龍造寺・大友・島津など九州60名の武将と比較できる |
| ⑥後世の佐賀藩から直茂を見たい | 『新校訂 全訳注 葉隠(上)』 | 直茂の同時代史料ではなく、後世に形成された藩祖像を考えられる |
| ⑦周辺人物を音声で楽しみたい | Audible『戦国武将伝 西日本編』 | 龍造寺家兼、有馬晴信、戸次道雪、島津義弘などを耳から楽しめる |
初心者がいきなり詳しい本から読むと、龍造寺隆信、政家、高房、大友宗麟、島津義久、豊臣秀吉、鍋島勝茂、立花宗茂など、多くの人物と政権の変化が一気に登場して混乱しやすくなります。
特に直茂は、人生の前半と後半で立場が大きく変化する人物です。
最初は、「なぜ隆信から信頼されたのか」「隆信の死後に何を任されたのか」「なぜ息子・勝茂が佐賀藩初代藩主になれたのか」の3点を大きくつかめる本から読むのがおすすめです。
そのあと今山、秀吉との関係、朝鮮出兵、関ヶ原、『葉隠』へ広げると、直茂の80年を超える人生が一本につながります。
鍋島直茂のおすすめ本・Audible7選を紹介
鍋島直茂の本は、人物入門書、歴史小説、評伝、地域史、武将列伝、古典、Audibleなど、形式によって読みやすさが変わります。
初心者は、価格やページ数だけでなく、自分がどのくらい深く知りたいかで選ぶと失敗しにくいでしょう。
| 本・Audible | 価格・ページ数など | 難易度 | 向いている人 | 購入先 |
|---|---|---|---|---|
| ①『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』 | ・1,650円 ・88ページ | やさしいから普通 | 短い本で直茂の全体像をつかみたい人 | |
| ②『武士道 鍋島直茂』 | ・946円 ・496ページ | 普通 | 直茂の人生を長編歴史小説で読みたい人 | |
| ③『戦国佐賀の武勇 龍造寺隆信と鍋島直茂』 | ・2,420円 ・285ページ | 普通からやや詳しい | 隆信と直茂の関係を中心に学びたい人 | |
| ④『史伝 鍋島直茂 「葉隠」の名将』 | ・1,480円〜 ・294ページ | 普通からやや詳しい | 龍造寺氏から鍋島氏への権力移行を考えたい人 | |
| ⑤『戦国武将列伝11 九州編』 | ・3,300円 ・504ページ | やや詳しい | 九州全体の中で直茂を位置づけたい人 | |
| ⑥『新校訂 全訳注 葉隠(上)』 | ・2,750円 ・656ページ | 詳しい | 後世に語られた直茂や佐賀藩の価値観を知りたい人 | |
| ⑦Audible『戦国武将伝 西日本編』
| 再生時間 8時間40分 | やさしいから普通 | 龍造寺家兼など周辺人物を音声で楽しみたい人 |
『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』は、岩松要輔による96ページの人物入門書です。
龍造寺隆信の重臣として活動した青年期、今山、隆信の戦死、秀吉の九州平定、朝鮮出兵、関ヶ原、佐賀城、晩年までをコンパクトに追えます。
『武士道 鍋島直茂』は、近衛龍春による長編歴史小説です。
龍造寺隆信を支えた時代から今山、肥前統一、朝鮮出兵、関ヶ原まで、直茂の長い人生を物語として楽しめます。
『戦国佐賀の武勇 龍造寺隆信と鍋島直茂』は、川副義敦による2025年刊の本です。
隆信と直茂を「主君と家臣」「義兄弟」という二つの関係から取り上げ、龍造寺氏の勢力拡大から鍋島氏の時代へ続く流れを読めます。
『史伝 鍋島直茂 「葉隠」の名将』は、中西豪による学研M文庫です。
龍造寺家から鍋島家への佐賀の大名交代を「お家乗っ取り」なのか「禅譲」なのかという疑問から考え、秀吉・家康を含む中央政権の思惑にも目を向けています。
『戦国武将列伝11 九州編』は、新名一仁編による武将列伝です。
「鍋島直茂――龍造寺隆信・豊臣秀吉に見出された武将」という項目があり、隆信・政家、大友宗麟、戸次道雪、有馬晴信、島津義久・義弘・家久など、九州で活動した60名を同じ1冊で確認できます。
『新校訂 全訳注 葉隠(上)』は、佐賀藩士・山本常朝が語り、田代陣基が筆録した『葉隠』を、新しい校訂と詳しい注釈で読める講談社学術文庫です。
上巻には「夜陰の閑談」「聞書一」「聞書二」「聞書三」などが収録されています。
Audible『戦国武将伝 西日本編』は、今村翔吾による西日本24人の武将を主人公にした掌編歴史小説集です。
直茂本人の作品ではありませんが、佐賀県では曾祖父世代の龍造寺家兼、長崎県では有馬晴信、大分県では戸次道雪、鹿児島県では島津義弘など、直茂の時代へつながる人物が収録されています。
まず96ページで鍋島直茂の全体像をつかむなら、『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』がおすすめです!
鍋島直茂を初めて学ぶ人に、最初の1冊として最もおすすめしたいのが、岩松要輔『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』です。
96ページと短く、今回紹介する紙の本では最も負担が少ない一方、直茂本人の人生を最初から最後まで追えます。
鍋島氏の由緒、龍造寺隆信との関係、今山の夜襲、隆信の戦死、秀吉の九州平定、朝鮮出兵、関ヶ原、佐賀城、晩年まで一通りそろっています。
口絵には鍋島家ゆかりの品々と佐賀も掲載されており、文章だけでなく人物と場所を結びつけやすい本です。
鍋島直茂が初心者に少しわかりにくい理由は、人生の途中で役割が変わるからです。
最初は龍造寺隆信を支える立場でした。
その隆信が1584年に沖田畷で亡くなると、今度は残された龍造寺領をどう維持するのかという責任が直茂へ重くのしかかります。
さらに豊臣秀吉が九州を平定すると、九州内部だけで生き残る方法では足りなくなります。
1590年には龍造寺政家が隠居し、直茂は秀吉の命を受けて領国経営を担いました。
「優秀な家臣」で終わるのではなく、組織そのものの将来へ責任を負う側に回った人物です。
私はこの変化に、鍋島直茂を読む面白さがあると思います。
上に龍造寺隆信という強烈な主君がいる時代には、直茂の役割は支えることです。
ところが中心人物が突然いなくなれば、「誰かを支える能力」だけではなく、自分で決め、その結果を引き受ける力が必要になります。
現代の組織でも、優れた補佐役がそのまま優れた責任者になるとは限りません。
求められる役割が変わるからです。
直茂の場合は、その変化を戦国から豊臣・徳川の時代まで何十年も経験したところに特徴があります。
この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。
| この本が向いている人 | 理由 |
|---|---|
| 鍋島直茂を初めて学ぶ人 | 96ページで人生全体をつかめる |
| 短い本から始めたい人 | 長編小説や研究書より負担が少ない |
| 今山や関ヶ原まで一通り知りたい人 | 青年期から晩年まで時代順に確認できる |
| 佐賀の史跡にも興味がある人 | 口絵や佐賀との関係も確認しやすい |
逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。
| この本が向いていない人 | 理由 |
|---|---|
| 長編小説で感情移入したい人 | 『武士道 鍋島直茂』のほうが向いています |
| 龍造寺氏から鍋島氏への移行だけを深く知りたい人 | 『史伝 鍋島直茂』もあわせて読みたいです |
| 『葉隠』との関係を詳しく読みたい人 | 『新校訂 全訳注 葉隠(上)』へ進むとよいでしょう |
初心者向けだから内容が薄いのではなく、「最初に必要な地図を作る本」と考えるとよいでしょう。直茂の人生を96ページで頭の中に入れておけば、長編小説や龍造寺氏の研究へ進んだときにも迷いにくくなります。
龍造寺隆信を支えた時代から関ヶ原まで物語で追うなら、『武士道 鍋島直茂』がおすすめです!
鍋島直茂の長い人生を歴史小説としてじっくり読みたい人には、近衛龍春『武士道 鍋島直茂』がおすすめです。
龍造寺隆信の重臣だった時代から今山、肥前統一、隆信の死、朝鮮出兵、関ヶ原までを長編で追えます。
龍造寺氏の勢力拡大を支え、秀吉や家康の時代を生き抜き、佐賀藩祖となった直茂の生涯を描く作品となっています。
史実をそのまま並べる評伝ではなく、人物の心情や会話も含めた歴史小説として読む作品です。
直茂の人生で私が特に面白いと思うのは、仕えた主君がいなくなっても本人の人生がまだ30年以上続くところです。
柴田勝家のように主君の死後まもなく自分も歴史の表舞台から消える人物もいますが、直茂の場合は隆信の死が「終わり」ではありません。
むしろ、そのあとに別の難しさが始まります。
豊臣秀吉が九州を支配します。
朝鮮への出兵を命じられます。
秀吉が亡くなると徳川家康と石田三成の対立が起き、関ヶ原では息子・勝茂が西軍側へ加わります。
直茂は、龍造寺隆信に忠実に仕えるだけでは答えが出ない時代を生きることになりました。
直茂は1592年に朝鮮半島へ渡り、加藤清正らとともに北へ進みました。
1597年の史料では、最初の渡海から5年間帰国せず滞在を続けたことも確認できます。
長い人生を読むとき、私は「判断の基準をいつ変えたのか」に注目したくなります。
隆信に仕えていたころの正解と、秀吉の全国政権に組み込まれたあとの正解、さらに徳川家康が力を持ったあとの正解は同じではありません。
変化するたびに昔のやり方を捨てれば節操がないようにも見えます。
一方で、変化しているのに以前の方法へ固執すれば、家臣や家族を巻き込んで家そのものを失う可能性があります。
直茂は、忠義と生き残りの間で何度も判断を迫られた人物として読むと面白いです。
この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。
| この本が向いている人 | 理由 |
|---|---|
| 直茂本人の人生を歴史小説で読みたい人 | 496ページの長編で人生を追える |
| 龍造寺隆信との時代から読みたい人 | 主君を支える青年・壮年期から始まる |
| 豊臣・徳川時代まで読みたい人 | 朝鮮出兵や関ヶ原まで続く |
| 人物の判断や心情を想像しながら読みたい人 | 評伝とは違う歴史小説の魅力がある |
逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。
| この本が向いていない人 | 理由 |
|---|---|
| 史実だけを短く整理したい人 | 歴史小説なので496ページあります |
| 最初の1冊を短時間で読みたい人 | 96ページの『実像に迫る 鍋島直茂』が向いています |
| 龍造寺から鍋島への権力移行だけ知りたい人 | 政治的な移行を主題にした本を組み合わせたいです |
短い人物紹介を読んだあと、「この人が80年以上をどう生きたのか」を一人の人間として追いたくなったときに選びたい作品です。
補佐役、領国を背負う責任者、父、老将という直茂の変化を長い時間で味わえます。
龍造寺隆信と鍋島直茂を「主君と軍師」だけで終わらせないなら、『戦国佐賀の武勇 龍造寺隆信と鍋島直茂』がおすすめです!
鍋島直茂を理解するうえで最も重要な人物は、やはり龍造寺隆信です。
2025年刊の川副義敦『戦国佐賀の武勇 龍造寺隆信と鍋島直茂』は、二人を主君と家臣、さらに義兄弟でもあった人物として一緒に読める本です。
五州の太守と呼ばれるまで勢力を広げた隆信と、その隆信を支えながら数々の武功を挙げ、のちに佐賀藩祖となる直茂に焦点を当てています。
直茂単独の人生だけでは理解しにくい「龍造寺家の中での立場」を確認できる点が魅力です。
二人の関係を「優秀な軍師が主君を助けた」とまとめるだけでは、少し物足りません。
隆信と直茂は血縁でも結ばれ、その後の再婚によって義兄弟にもなりました。
一緒に勢力を広げる仲間である一方、直茂は龍造寺一族そのものではなく鍋島家の人間でもあります。
私はこの距離感がとても面白いと思います。
家族に近い。
主従でもある。
同じ家の将来を背負っている。
それでも完全に同じ立場ではありません。
こうした関係は、「仲が良かった」「忠義を尽くした」という一言では説明しきれません。
隆信が生きている間は、直茂が前に出るほど隆信の勢力が強くなります。
隆信が亡くなると状況は変わり、直茂が強くなるほど「龍造寺家と鍋島家の関係をどう考えるのか」という別の問題が生まれます。
さらに直茂は、隆信が生きていた1582年の段階ですでに羽柴秀吉と直接連絡を取っていました。
本能寺の変直後の秀吉書状が残っており、直茂が長崎で入手した南蛮帽子を秀吉へ贈ったことも記されています。
ここから「直茂は隆信を裏切るつもりだった」と決めつける必要はありません。
むしろ大名家の重臣には、主君の命令を受けるだけではなく、外部との交渉や情報収集も求められます。
中央の秀吉と関係を築ける人材だったことが、隆信の死後に直茂の価値をさらに高めたと考える材料になります。
この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。
| この本が向いている人 | 理由 |
|---|---|
| 龍造寺隆信との関係を知りたい人 | 二人を主軸に戦国佐賀を読める |
| 2025年刊の新しい本を読みたい人 | 今回の関連本では特に新しい1冊です |
| 主従関係だけではない二人を知りたい人 | 従兄弟・義兄弟という関係まで考えられる |
| 戦国佐賀そのものに興味がある人 | 龍造寺から鍋島へ続く流れを読める |
逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。
| この本が向いていない人 | 理由 |
|---|---|
| 鍋島直茂だけを1冊丸ごと読みたい人 | 龍造寺隆信も大きな柱となる本です |
| 歴史小説として楽しみたい人 | 『武士道 鍋島直茂』のほうが向いています |
| 『葉隠』の直茂像を知りたい人 | 『新校訂 全訳注 葉隠(上)』へ進むとよいでしょう |
龍造寺隆信の記事を読んだあとに、この本を続けて読むのもおすすめです。
隆信側から見た直茂と、直茂側から見た隆信を行き来すると、二人の関係が単純な「主君と名軍師」ではなかったことが見えてきます。
「鍋島家による乗っ取りだったのか?」を考えるなら、『史伝 鍋島直茂 「葉隠」の名将』がおすすめです!
鍋島直茂を学ぶと、多くの初心者が一度は疑問に思うのが、「なぜ龍造寺氏ではなく鍋島氏が佐賀藩主になったのか」という点でしょう。
この問題を正面から考えたい人には、中西豪『史伝 鍋島直茂 「葉隠」の名将』がおすすめです。
龍造寺家から鍋島家への交代を「お家乗っ取り」か「禅譲」かという問いから考え、秀吉や家康など中央政権の九州支配も含めてその舞台裏に迫っています。
この問題で大切なのは、隆信が亡くなった翌日に鍋島氏へ主家が入れ替わったわけではない点です。
隆信の死後には息子・龍造寺政家がおり、その後には高房もいました。
直茂は龍造寺氏の領国を経営する立場を強めていきますが、形式上の龍造寺家と、実際の統治を担う鍋島家が並ぶ期間があります。
1587年に九州を平定した秀吉は、龍造寺政家へ肥前7郡を認める一方、直茂にも別途領地を与えました。
さらに肥後国人一揆への対応を命じた朱印状では、秀吉が政家と直茂を並べて期待していたことがわかります。
1590年には政家が隠居し、直茂が領国経営を担うようになります。
1607年に龍造寺政家・高房が相次いで亡くなり、やがて息子・勝茂を初代藩主とする鍋島佐賀藩が確立しました。
私はこの流れを見ると、「乗っ取った」「譲られた」のどちらか一語で決めるより、誰が実際に組織を動かせたのかを見るほうが面白いと思います。
名目上の当主がいることと、政治や軍事を実際にまとめられる人がいることは同じではありません。
現代の会社とそのまま比べることはできませんが、創業家の後継者と実務を支える経営陣の関係を想像すると、少しわかりやすくなります。
中心人物が亡くなり、後継者が十分に力を持てない時期に、実務を担っていた人物へ権限が集まっていく。
その状態が何年も続けば、組織の実態そのものが変わっていきます。
だからこそ、鍋島直茂の評価は難しいです。
龍造寺家を支えた忠臣としても読めます。
その一方で、結果だけ見れば龍造寺氏の実権は失われ、鍋島氏が佐賀藩主家となりました。
この二つが同じ人生の中にあるところが、直茂を考える大きなテーマです。
この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。
| この本が向いている人 | 理由 |
|---|---|
| 龍造寺氏から鍋島氏への交代が気になる人 | 本書の中心的な問題として読める |
| 「乗っ取り」という評価を考え直したい人 | 中央政権との関係も含めて考えられる |
| 秀吉・家康との関係も知りたい人 | 九州内部だけでなく全国政権の影響も見られる |
| 直茂死後の佐賀まで考えたい人 | 鍋島氏が藩主家となる背景を理解しやすい |
逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。
| この本が向いていない人 | 理由 |
|---|---|
| 新品ですぐ購入したい人 | 現在は新品品切れで、中古本中心です |
| まず人物の人生だけ簡単に知りたい人 | 96ページの入門書から始めるほうが読みやすいです |
| 物語として直茂を楽しみたい人 | 『武士道 鍋島直茂』が向いています |
鍋島直茂について一通り知ったあと、「この人は忠臣だったのか、それとも主家を越えたのか」と疑問を持った段階で読みたい本です。
答えを単純に一つへ決めるより、龍造寺氏・鍋島氏・秀吉・家康という複数の力関係から考えるきっかけになります。
大友・龍造寺・島津の中で鍋島直茂を見るなら、『戦国武将列伝11 九州編』がおすすめです!
鍋島直茂本人の本を読んだあと、戦国九州全体へ視野を広げたい人には、『戦国武将列伝11 九州編』がおすすめです。
九州で活動した60名の武将を取り上げています。
直茂については、中村知裕氏による「鍋島直茂――龍造寺隆信・豊臣秀吉に見出された武将」が収録されています。
同じ本で龍造寺隆信・政家、大友宗麟、戸次道雪、有馬晴信、島津義久・義弘・家久なども読めるため、直茂を九州全体の中へ置くことができます。
鍋島直茂だけを主人公にすると、今山の勝利は「直茂の知略が大友軍を破った」という成功談になりやすいです。
大友氏側から見れば、これは北部九州への影響力を保とうとした戦いであり、龍造寺側から見れば家そのものの存亡がかかった局面でした。
同じことは沖田畷にもいえます。
直茂にとっては主君・隆信を失った大敗です。
有馬晴信にとっては龍造寺氏の圧力から自分の領地を守る戦いであり、島津家久にとっては少数の援軍を率いて大きな勝利を得た戦いとして記憶されます。
私は九州の戦国史を読むほど、「誰を主役にするかで同じ合戦の意味が変わる」と感じます。
前の記事では大友宗麟側から読み、龍造寺隆信側から読み、島津家久側から読んだ出来事も、直茂へ主役を変えると別の人生の一場面になります。
さらに直茂は、龍造寺氏だけを見て生きた人ではありません。
隆信存命中には秀吉と連絡を取り、隆信の死後は豊臣政権へ対応し、その後は徳川政権の成立にも向き合います。
地方の有力家臣が全国政権と直接つながるようになる過程を見るうえでも興味深い人物です。
この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。
| この本が向いている人 | 理由 |
|---|---|
| 戦国九州全体を知りたい人 | 九州の60名を一冊で確認できる |
| 大友氏や島津氏と比較したい人 | 敵対・競合する勢力も同じ本で読める |
| 直茂を龍造寺氏の家臣だけで見たくない人 | 豊臣秀吉との関係まで視野を広げられる |
| 九州の国衆にも興味がある人 | 三大勢力だけではない複雑な九州を学べる |
逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。
| この本が向いていない人 | 理由 |
|---|---|
| 鍋島直茂だけを丸ごと読みたい人 | 九州60名の武将列伝です |
| 歴史小説が読みたい人 | 研究成果をもとにした人物解説が中心です |
| 最初の1冊を探している人 | 直茂本人の短い入門書から読むほうが理解しやすいです |
直茂だけを読んでいると「優秀な人物だったから生き残った」と説明したくなります。
九州全体を見ると、相手の動き、中央政権の変化、周囲の国衆など多くの条件が重なっていたことがわかり、直茂の判断をより冷静に考えられるでしょう。
「直茂本人」ではなく「後世に残った直茂」を読むなら、『新校訂 全訳注 葉隠(上)』がおすすめです!
鍋島直茂を深く学ぶなら、『葉隠』との関係も避けて通れません。
今回紹介する『新校訂 全訳注 葉隠(上)』は、佐賀藩士・山本常朝が語り、田代陣基が筆録した『葉隠』を現代の校訂と注釈で読めます。
ここで初心者が必ず知っておきたいのは、『葉隠』が鍋島直茂自身の著書ではない点です。
山本常朝は直茂よりずっと後の時代を生きた佐賀藩士で、『葉隠』が成立したのは18世紀初頭です。
そのため、『葉隠』に書かれた直茂像をそのまま16世紀の同時代史料として読むことはできません。
一方、その「後世の記録」であること自体に価値があります。
早稲田大学高等研究所の研究では、『葉隠』の聞書三から五には佐賀藩祖・歴代藩主とその家族についての事績や言行がまとめられていると説明されています。
つまり、直茂が亡くなってから約100年後の佐賀藩で、藩祖や歴代藩主がどのように記憶されていたのかを見る資料でもあります。
私はここに、歴史を学ぶもう一つの面白さを感じます。
「実際に直茂が何をしたのか」と、「後世の佐賀藩士が直茂をどのような人物として覚えたのか」は別の問題です。
人物の死後に作られるイメージまで見ると、歴史は本人の人生だけでは終わりません。
直茂のように「藩祖」と位置づけられた人物は、後の時代にとって単なる昔の武将ではありません。
藩がどのような価値観を持つべきか、家臣はどう振る舞うべきかを考えるときの基準にもなります。
そのため後世の直茂像には、実際の人物だけでなく「こうあってほしい藩祖」という期待が重なっている可能性も考える必要があります。
『葉隠』を読むときは、有名な「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」という一節だけで終わらせず、佐賀藩という組織がどのような歴史を記憶していたのかを見るのがおすすめです。
その視点を持つと、鍋島直茂の記事に『葉隠』を入れる意味もはっきりします。
この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。
| この本が向いている人 | 理由 |
|---|---|
| 『葉隠』と直茂の関係が気になる人 | 佐賀藩祖として後世に伝わった姿を考えられる |
| 古典史料へ進んでみたい人 | 校訂・注釈付きで『葉隠』を読める |
| 人物の死後の評価に興味がある人 | 「実際の直茂」と「記憶された直茂」を分けて考えられる |
| 佐賀藩の価値観を深く知りたい人 | 江戸時代の鍋島家・家臣団へ視野を広げられる |
逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。
| この本が向いていない人 | 理由 |
|---|---|
| 鍋島直茂を初めて学ぶ人 | 先に直茂本人の生涯を知るほうが理解しやすいです |
| 直茂の同時代史料だけを読みたい人 | 『葉隠』は直茂死後かなり後に成立した資料です |
| 短時間で概要を知りたい人 | 656ページあり、今回の中では最も詳しい部類です |
最初に読む本ではありませんが、何冊か直茂について読んだあとなら非常に面白い1冊です。
「直茂は何をしたのか」から一歩進み、「なぜその人物が佐賀藩で長く語り継がれたのか」を考えられます。
龍造寺家兼や有馬晴信など周辺人物を音声で楽しむなら、Audible『戦国武将伝 西日本編』がおすすめです!

鍋島直茂本人を主人公にしたAudible作品は、今回の調査では初心者へ自然に紹介できる作品を確認できませんでした。
そのため関連Audibleとして紹介するのが、今村翔吾『戦国武将伝 西日本編』です。
西日本24府県から一人ずつ武将を選んだ掌編歴史小説集で、佐賀県では「老軀、翔ける 龍造寺家兼」が収録されています。
龍造寺家兼は、隆信以前の龍造寺氏を考えるうえで重要な人物です。
直茂本人の物語ではありませんが、直茂が仕えた龍造寺家がどのような歴史を持っていたのか、その一世代前へ興味を広げられます。
さらに長崎県では有馬晴信、大分県では戸次道雪、鹿児島県では島津義弘、大阪府では豊臣秀吉が主人公です。
直茂の人生で名前が出てくる勢力や人物を、別々の主人公から聴けるところに関連Audibleとしての価値があります。
私はこの作品を、鍋島直茂の代わりになる教材として使うのではなく、「本で覚えた人物を別の方向から知るための音声作品」として使うのがおすすめです。
今山を学んだあとに戸次道雪、沖田畷を学んだあとに有馬晴信、九州平定を学んだあとに秀吉を聴くと、一つ一つの人物がつながります。
同じ出来事でも、直茂から見れば味方や敵だった人物が、その短編では主人公になります。
こうして視点を変えると、「直茂は正しかったのか」と一人だけを評価するより、当時の九州にいた人たちそれぞれの事情へ興味を広げられるでしょう。
このAudibleが向いている人を、簡単にまとめてみました。
| このAudibleが向いている人 | 理由 |
|---|---|
| 通勤・家事のスキマ時間に歴史を楽しみたい人 | 8時間40分の作品を耳から楽しめる |
| 龍造寺家兼に興味がある人 | 佐賀県の物語では家兼が主人公です |
| 直茂の敵・味方へ視野を広げたい人 | 有馬晴信、戸次道雪、島津義弘、秀吉なども収録されている |
| 九州戦国史を音声でも楽しみたい人 | 複数の九州武将を別々の主人公から聴ける |
逆に、このAudibleが向いていない人を簡単にまとめてみました。
| このAudibleが向いていない人 | 理由 |
|---|---|
| 鍋島直茂本人の生涯を音声で聴きたい人 | 直茂単独の作品ではありません |
| 史実を体系的に勉強したい人 | 掌編歴史小説集なので評伝の代わりにはなりません |
| 佐賀の人物だけを聴きたい人 | 近畿・中国・四国・九州の24人を収録しています |
関連Audibleであることを理解したうえで、本を読む時間が取れない日に使うのがおすすめです。
直茂本人を紙の本で学び、周囲の人物を音声で補う組み合わせなら、それぞれの良さを生かせます。
初心者におすすめの読む順番はこれ!

鍋島直茂を初めて学ぶなら、読む順番も大切です。
最初から龍造寺氏から鍋島氏への権力移行や『葉隠』へ進むと、直茂がそもそもどのような人生を歩んだ人物なのかわからないまま、難しい問題へ入ってしまいます。
まず直茂本人の人生をつかみ、次に物語、龍造寺隆信との関係、権力移行、九州全体、後世の『葉隠』へ進むと理解しやすくなります。
私がおすすめする読む順番は、次の通りです。
| 順番 | 本・Audible | 目的 |
|---|---|---|
| ① | 『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』 | 96ページで人生全体の地図を作る |
| ② | 『武士道 鍋島直茂』 | 長編小説で直茂の人生へ近づく |
| ③ | 『戦国佐賀の武勇 龍造寺隆信と鍋島直茂』 | 隆信との主従・義兄弟関係を深める |
| ④ | 『史伝 鍋島直茂』 | 龍造寺氏から鍋島氏への政治的な移行を考える |
| ⑤ | 『戦国武将列伝11 九州編』 | 大友・島津など九州全体へ視野を広げる |
| ⑥ | 『新校訂 全訳注 葉隠(上)』 | 後世に形成された直茂像・佐賀藩の記憶を読む |
| ⑦ | Audible『戦国武将伝 西日本編』 | 龍造寺家兼や有馬晴信など周辺人物を耳から補う |
最初は『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』です。
96ページで、隆信の重臣だった時代、今山、沖田畷後、秀吉、朝鮮出兵、関ヶ原、佐賀藩成立まで一気に見ます。
最初にこの流れがわかれば、その後の本で迷いにくくなります。
2冊目に『武士道 鍋島直茂』を読み、今度は直茂の人生を物語として追います。
年表で知った出来事を人物の時間として味わうことで、80年以上生きた直茂の長さを実感しやすくなるでしょう。
3冊目は2025年刊『戦国佐賀の武勇 龍造寺隆信と鍋島直茂』です。
ここで直茂一人から隆信との関係へ視点を移し、「主君を支えた家臣」と「のちに実権を担う人物」が同じ人生の中でどうつながっているのかを考えます。
4冊目の『史伝 鍋島直茂』では、初心者が最も疑問に感じやすい龍造寺氏から鍋島氏への権力移行へ進みます。
5冊目の『戦国武将列伝11 九州編』では、今度は佐賀の外へ主役を広げ、大友・島津・有馬などから直茂の時代を見直します。
最後の段階で『新校訂 全訳注 葉隠(上)』を読むと、「生前の直茂」から「後世の佐賀藩に記憶された直茂」へ時間を進められます。
Audibleはどこか一つの順番に固定せず、家兼や有馬晴信など気になった人物を通勤・家事のスキマ時間に聴く使い方でもよいでしょう。
私がこの順番で特に意識したいのは、最初から直茂を「名軍師」や「主家を乗っ取った人物」と決めないことです。
- 隆信を支えていた直茂
- 隆信を失った直茂
- 秀吉から領国経営を任された直茂
- 息子の関ヶ原で家を失いかけた直茂
- 佐賀城を築いた直茂
その変化を追ってから評価するほうが、人物をずっと立体的に理解できます。
「紙の本」「Kindle」「Audible」はどれを選べばよいか…?

鍋島直茂を学ぶ方法は、紙の本だけではありません。
Kindle(電子書籍)やAudibleを組み合わせれば、長い本を持ち歩きたくない人や、読書時間が少ない人でも学びやすくなります。
| 形式 | 向いている人 | 使い方 |
|---|---|---|
| 紙の本 | 人物関係・地図・目次へ戻りながら読みたい人 | 龍造寺氏や九州の武将を確認しながら評伝を読む |
| Kindle(電子書籍) | スマホやタブレットで少しずつ読みたい人 | 電子版のある作品を人物名検索なども使いながら読む |
| Audible | 通勤・家事のスキマ時間を使いたい人 | 直茂を本で学んだあと、周辺武将を耳から補う |
鍋島直茂の場合、最初の1冊には紙の本が特に使いやすいと思います。
龍造寺氏、鍋島氏、大友氏、島津氏、豊臣政権、徳川政権と関係が変わり、同じ人物でも信昌・信生・直茂など複数の名乗りが出てくるため、前のページへ戻りながら読みたくなるからです。
『戦国武将列伝11 九州編』も、気になった人物の項目を行き来する読み方と相性が良いでしょう。
大友宗麟、龍造寺隆信、鍋島直茂、島津義久などの記事を同じ本で確認すると、九州の勢力関係を一つの方向から決めつけずに読めます。
Kindle(電子書籍)は、長編や古典を持ち歩きたくない人に便利です。
講談社公式では『新校訂 全訳注 葉隠(上)』の電子版も案内されています。
656ページの本なので、紙の厚さが気になる人には電子版という選択肢があります。
Audibleは、直茂本人の評伝を置き換えるものではありません。
紙の本やKindleで直茂を学んだあと、『戦国武将伝 西日本編』で龍造寺家兼や有馬晴信、島津義弘などを聴けば、「直茂を中心にした九州」から「多くの人物が同時に生きていた九州」へ視野を広げられます。
大河ドラマ『豊臣兄弟!』や今山・佐賀城・徴古館とあわせて鍋島直茂を学ぶ価値とは
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鍋島直茂は、2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』の時代を九州側から理解するうえで面白い人物です。
ドラマへの直茂本人の登場を前提にする必要はありません。
歴史上、直茂の立場が大きく変わった1587年の九州平定そのものが、秀吉・秀長兄弟の天下一統と深くつながっています。
NHK出版の解説では、1587年の九州討伐で秀長が「一門筆頭の執政」として軍を率い、戦後の仕置にも重要な役割を果たしたことが紹介されています。
一方、文化遺産オンラインでは、島津氏降伏後の九州仕置で龍造寺政家に肥前7郡が認められる一方、直茂にも別に領地が与えられたことを確認できます。
豊臣側から見れば、九州討伐は天下一統を進める戦いです。
直茂側から見れば、龍造寺氏内部で生きてきた武将が、九州全体を支配できる全国政権と直接向き合い、自分自身も中央から評価されるようになる転換点でした。
史跡では、まず佐賀市大和町の今山に注目したいです。
1570年、大友宗麟の軍勢が龍造寺氏を圧迫する中、最後の軍議では開城や退却を考える意見も出ました。
その状況で鍋島信昌、のちの直茂が夜襲を主張し、大友方を破ったと佐賀市の地域資料に伝えられています。
地元では「佐賀の桶狭間」とも呼ばれる戦いです。
私は今山を見るなら、結果だけでなく戦う前の空気を想像したいと思います。
城を明け渡すか、逃げるかという意見が出るほど追い込まれている中で、直茂は危険な夜襲を提案しました。
成功したあとだから「名軍師の名案」に見えます。
実際に決める前には、失敗すれば家そのものが終わる可能性もあったでしょう。
歴史上の名判断は、答えを知った後世から見るより、その時点ではずっと怖い選択だったはずです。
直茂の出発点を知るなら、本庄町の鍋島直茂誕生地もあります。
佐賀市の史跡として現在も胞衣塚が残り、1538年に本庄館で生まれた直茂の原点を確認できます。
晩年の直茂を考えるなら、佐賀城と城下町も重要です。
徴古館によると、本格的な佐賀城・城下町の建設は1608年に直茂・勝茂父子によって始められ、1611年には勝茂が佐賀城本丸へ入りました。
若い直茂は戦場で主君を支えました。
晩年には息子の時代を見据え、城や城下町を整える側にいます。
この変化を知ると、直茂の人生を「今山で奇襲に成功した軍師」と一場面だけで見るのは、かなりもったいないと感じます。
さらに佐賀市の伊勢神社は、1591年の佐賀城下町建設に伴って直茂が現在地へ移したとされています。
合戦だけではなく、寺社や道路、町をどのように配置するかという点にも、領地を治める側へ変わった直茂の姿が残っています。
鍋島家の実物資料を見たい人には、公益財団法人鍋島報效会の徴古館があります。
直茂の肖像や秀吉からの書状など、鍋島家に伝来した貴重な資料を所蔵している施設です。
晩年まで追うなら、多布施と高伝寺も忘れたくありません。
直茂は晩年に多布施へ隠居し、1618年に81歳で亡くなりました。
現在の高伝寺墓所には龍造寺家と鍋島家歴代の墓が並んでおり、龍造寺から鍋島へ続く佐賀の歴史を同じ場所で見ることができます。
- 本庄で生まれた直茂
- 今山で戦った直茂
- 隆信の死後に家を支えた直茂
- 秀吉の時代に朝鮮半島へ渡った直茂
- 関ヶ原後の危機を越え
- 佐賀城を整えた直茂
史跡と一緒に追うと、直茂が一つの時代だけを生きた武将ではなかったことを実感できます。
鍋島直茂の本選びで迷ったら、まずこの1冊!

鍋島直茂の本選びで迷ったら、次の基準で選ぶと決めやすいです。
最初の1冊を無理に一番詳しい本にする必要はありません。
| 迷い | 選ぶ本・Audible |
|---|---|
| まず短い本で直茂の人生を知りたい | 『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』 |
| 長編歴史小説で直茂を読みたい | 『武士道 鍋島直茂』 |
| 龍造寺隆信との関係が一番気になる | 『戦国佐賀の武勇 龍造寺隆信と鍋島直茂』 |
| 龍造寺氏から鍋島氏への交代を知りたい | 『史伝 鍋島直茂』 |
| 大友・島津など九州全体も知りたい | 『戦国武将列伝11 九州編』 |
| 『葉隠』と直茂の関係を知りたい | 『新校訂 全訳注 葉隠(上)』 |
| 周辺人物を音声で楽しみたい | Audible『戦国武将伝 西日本編』 |
最初の1冊として私が選ぶなら、岩松要輔『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』です。
直茂本人について必要な流れをかなりコンパクトに確認できます。
鍋島直茂の場合、最初から『葉隠』や龍造寺氏との家督問題へ進むより、まず「いつ、どの立場にいた人なのか」を整理したほうがよいでしょう。
- 隆信の家臣として戦う
- 隆信を失う
- 秀吉から評価される
- 領国を経営する
- 朝鮮へ渡る
- 関ヶ原後の危機を越える
- 佐賀城を整える
この大きな順番を知るだけでも人物像はかなり変わります。
そのあと、人物の人生を楽しみたければ『武士道 鍋島直茂』へ進みます。
隆信との関係が気になったら『戦国佐賀の武勇』、龍造寺から鍋島への移行が一番引っかかったら『史伝 鍋島直茂』へ進めば、自分の疑問に合わせて読書を深められます。
私なら最初に入門書を読み、そのあと長編小説へ進みます。
さらに史実の本へ戻って、「小説で印象に残った直茂と、史料や研究から見える直茂は同じなのか」を比べます。
人物像を最初の1冊だけで完成させないほうが、鍋島直茂という人物には合っていると思います。
【まとめ】鍋島直茂を初心者が学ぶなら、「名軍師」の先にある80年の変化を読みましょう!

鍋島直茂を初心者が学ぶなら、まず人物入門書で人生の流れをつかみ、そのあと歴史小説や龍造寺隆信との関係へ進むのがおすすめです。
さらに龍造寺氏から鍋島氏への権力移行、戦国九州全体、『葉隠』で後世に語られた人物像まで読むと、直茂の面白さがかなり深くなります。
直茂は1538年、鍋島清房の次男として本庄館に生まれました。
龍造寺隆信とは従兄弟であり、隆信の母・慶誾尼が直茂の父へ再嫁したことで義兄弟にもなります。
戦国時代の主従関係に、血縁と家族関係まで重なった二人でした。
若いころの直茂を見るなら、やはり1570年の今山の戦いが印象に残ります。
大友氏の軍勢に包囲され、龍造寺側では開城や退却まで考えられる状況になりました。
その中で直茂が夜襲を提案し、結果として龍造寺氏は危機を切り抜けます。
こうした場面を見ると、直茂を「天才軍師」と呼びたくなる気持ちはわかります。
それでも、私は一つの成功した作戦だけで直茂を評価するより、その後の人生まで続けて見たいと思います。
直茂は、合戦で一度名案を出して歴史に残った人物ではありません。
龍造寺氏が大きくなる過程を支えました。
隆信が亡くなれば、その後始末を引き受けました。
豊臣秀吉が来れば中央政権との関係を築き、秀吉の命で国外へも出兵しました。
さらに秀吉の死後には徳川家康の時代へ対応します。
一つの能力で80年間を生き抜いたわけではないところに、私は直茂の強さを感じます。
若いころに求められたのは、戦場で主君を助ける力だったでしょう。
隆信の死後には家中をまとめる力が必要になります。
秀吉の時代には中央政権へ対応し、軍役を果たさなければなりません。
江戸時代が始まれば、今度は領地を残し、次の世代へ安定した状態で渡す仕事が重要になります。
同じ「優秀な人」でも、時代が変われば評価される能力は変わります。
昔うまくいった方法をずっと続けるだけでは、生き残れません。
その意味で、1584年の龍造寺隆信の死は、直茂の人生で大きな境目だったと思います。
沖田畷で隆信が戦死したとき、直茂は40代です。
現代の感覚なら、まだ仕事人生の途中ともいえる年齢でしょう。
長く仕えてきた中心人物を突然失い、それまでの役割を続けることができなくなります。
そこから直茂は、「隆信をどう支えるか」ではなく、「隆信がいない龍造寺家をどう残すか」を考えなければならなくなりました。
私はこの変化に、年齢を重ねてから歴史人物を読む面白さを感じます。
若いころは、有名な合戦でどれだけ強かったのかに目が向きやすいです。
40代、50代と人生を重ねていくと、中心人物がいなくなったあとに組織をどう立て直すのか、部下や家族をどう守るのかという場面にも目が向きます。
鍋島直茂は、まさにその部分を長く生きた人物です。
さらに興味深いのが、隆信の死後に直茂が突然中央政権へ接近したわけではない点です。
1582年、本能寺の変直後に秀吉が直茂へ送った書状が現在も残っています。
そこには、直茂が以前から秀吉と連絡を取り、南蛮帽子まで贈っていたことが記されています。
隆信の部下として働きながら、自分自身でも外部との関係を作っていたことになります。
私はここを「裏切りの準備」と断定するより、直茂という人物の視野の広さとして見たいです。
主君の近くだけを見て働くのではなく、その家を取り巻く外の情勢にも目を向けていました。
1587年、秀吉が島津氏を降伏させると九州の政治環境はさらに変わります。
九州内部の大名同士だけで勝敗を決める時代から、全国政権の判断が領地そのものを左右する時代へ入ります。
このとき秀吉は龍造寺政家の領地を認めながら、直茂にも別に領地を与えました。
さらに政家と直茂を並べて忠節を求める朱印状も残っています。
直茂は「龍造寺家の中にいる優秀な家臣」から、中央政権が直接認識する政治的な存在へ変わっていきます。
ここから龍造寺氏と鍋島氏の関係はさらに難しくなります。
1590年には政家が隠居し、直茂が領国経営を担います。
それでも、その時点ですぐ「龍造寺家が滅び、鍋島家が藩主になった」と考えるのは正確ではありません。
龍造寺政家も高房も生きています。
名目と実際の権限が少しずつ離れていく期間があります。
そして1607年に政家・高房が亡くれたあと、息子・勝茂を中心とする鍋島佐賀藩が名実ともに成立していきます。
だから私は、鍋島直茂を「主家を乗っ取った人」という一言で片づけるのも、「最後まで忠実だった名臣」と美しくまとめるのも、どちらも少し物足りないと思います。
主君を支えたのは事実です。
隆信の死後に龍造寺家を支えたのも事実です。
その結果、直茂の権限が強まり、最終的には鍋島氏が佐賀の藩主家となったことも事実です。
歴史上の人物には、きれいな肩書きだけでは整理できない人生があります。
直茂は、その典型の一人ではないでしょうか。
そして直茂の人生には、豊臣政権による朝鮮出兵もあります。
1592年に直茂は朝鮮半島へ渡り、その後長期間にわたり国外で軍役を続けました。
1597年には息子・勝茂とともに再び軍事行動へ加わっています。
この時期を「海外で活躍した武勇伝」とだけ読むのは避けたいです。
文禄・慶長の役は朝鮮半島を舞台にした大規模な戦争であり、多くの人が巻き込まれました。
直茂の人生を理解するためには、豊臣政権から課された軍役を長期間担ったという事実として、その重さまで見ておきたいです。
秀吉が亡くなった後も、危機は終わりません。
1600年の関ヶ原では、息子・鍋島勝茂が龍造寺高房とともに西軍側へ加わりました。
東軍が勝ったため、これは鍋島・龍造寺氏にとって家そのものを失いかねない大きな危機になります。
その後、直茂・勝茂が立花宗茂への攻撃に動いたことなどを経て、佐賀の所領が維持されたのです。
直茂は、今山で勝った若い武将とはまったく違う種類の危機に向き合っていました。
私はここで、「失敗したのが本人ではなく息子だった」という点にも目が向きます。
自分の判断だけなら自分で責任を取れます。
家を次の世代へ渡そうとしたときには、子どもや後継者の判断まで家の運命を左右します。
長く働き、自分なりに危機を越えてきた直茂が、晩年に息子の選択で家を失いかねない状況へ置かれたことを考えると、別の重さを感じます。
そして、その危機を越えたあとに直茂・勝茂父子が進めたのが佐賀城と城下町です。
本格的な建設は1608年に始まり、1611年には勝茂が本丸へ入りました。
若いころは城を守るために夜襲を考えた人物が、人生の終盤には新しい時代の城と町を作る側にいます。
私はこの変化が好きです。
戦国武将というと、敵の城を攻める場面のほうが有名です。
しかし戦が減る時代になれば、必要なのは領地を安定させ、町を整え、次の世代が暮らせる仕組みを残す力です。
佐賀市の伊勢神社が1591年の城下町建設に伴って直茂により現在地へ移されたという記録も、こうした変化を感じさせます。
戦場だけではわからない、領主としての仕事が現在の町の中にも残っています。
1618年、鍋島直茂は81歳で亡くなりました。
織田信長や豊臣秀吉、徳川家康などが次々に時代の中心となる中で、直茂は戦国の九州から江戸幕府成立後まで生きています。
80年以上という長い人生だからこそ、一つの肩書きでは説明できません。
- 龍造寺隆信を支えた重臣
- 今山で夜襲を主張した武将
- 秀吉と直接交渉できた政治家
- 隆信死後の龍造寺領を背負った人物
- 朝鮮半島へ渡った豊臣政権下の武将
- 関ヶ原後に家の存続へ動いた父
- 佐賀城と城下町の基礎を整えた藩祖
そして、死後には『葉隠』の世界でも語り継がれた存在です。
こうして並べると、「鍋島直茂=龍造寺隆信の軍師」という説明だけでは、人生の前半しか見ていないことがわかります。
私は鍋島直茂を学ぶ価値は、「人を支える能力」と「自分が背負う能力」の両方を一人の人生から見られるところにあると思います。
隆信がいる間は隆信を支え、隆信がいなくなれば残された家を支え、最後には自分の家が佐賀の中心になります。
それを忠義と呼ぶのか、処世術と呼ぶのか、政治力と呼ぶのかは、本を何冊読むかによって少しずつ変わるでしょう。
だからこそ、最初から答えを決めずに読んでほしい人物です。
まずは『シリーズ・実像に迫る004 鍋島直茂』で80年以上の人生をつかんでみてください。
そのあと龍造寺隆信との関係、権力移行、九州全体、『葉隠』へ進んでいけば、直茂がなぜ「佐賀藩祖」として今も佐賀の歴史に大きく残っているのか、自分なりの答えが見えてくるでしょう。
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