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山県昌景のおすすめ本・Audible7選!初心者向けに読む順番も解説

【人物】や行
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武田信玄を支えた猛将や、「赤備え」を率いた武将としての姿をきっかけに、山県昌景を本で学びたい人もいるのではないでしょうか。
山県昌景は、武田家臣団の中でも高い地位を占め、信玄から勝頼の時代まで活躍した武将です。

山県昌景の生年は確定していません。
甲府市は「?~天正3年5月21日」、長野市は「享禄3年(1530)?~天正3年(1575)」と表記しており、もとは飯富源四郎と名乗った飯富虎昌の弟でした。
兄・虎昌が義信事件に連座して処刑されたあと、信玄の命によって山県氏の名跡を継ぎ、譜代家老として武田家を支えています。

長野市では、山県昌景を武田四名臣の一人とし、信玄の近習小姓から侍大将へ進み、やがて武田家の最高指揮官にあたる「職」の座について信玄を補佐した人物として紹介しています。
甲府市の武田家臣団紹介でも、信玄晩年には原昌胤とともに武田家の最高職である「両職」を担ったことが確認できます。

山県昌景といえば、まず思い浮かぶのが「赤備え」でしょう。
甲府市によると、山県隊は装備を赤で統一していたため「山県の赤備え」と呼ばれました。
その印象が強いため、昌景を「赤い甲冑で突撃した猛将」とだけ覚えている人も少なくありません。

しかし、山県昌景の面白さは戦場の強さだけではありません。
静岡市の文化財保存活用地域計画では、武田信玄が永禄12年(1569年)に蒲原城を攻略したあと、重臣の山県昌景が城へ入り、蒲原・清水の武士を「蒲原衆」としてまとめて城の守備にあたらせたことが紹介されています。
前線で戦うだけでなく、武士をまとめ、重要な地域を守る責任者でもあったことがわかります。

山県昌景を初めて学ぶときは、次のようなポイントを頭の中に入れておくと人物像を整理しやすくなります。

  • もとは飯富源四郎と名乗っていたこと
  • 飯富虎昌の弟だったこと
  • 義信事件のあとに山県氏の名跡を継いだこと
  • 武田家の譜代家老として信玄を補佐したこと
  • 武田四名臣の一人として知られていること
  • 「山県の赤備え」を率いたこと
  • 蒲原城など駿河の重要拠点でも働いたこと
  • 信玄死後も武田勝頼に仕えたこと
  • 天正3年(1575年)の長篠・設楽原の戦いで戦死したこと

初心者が迷いやすいのは、「飯富源四郎」と「山県昌景」という二つの名前が出てくるうえ、赤備え、三方ヶ原、長篠、武田四名臣など、有名な言葉が次々に登場するからです。
さらに、山県昌景本人だけを一冊丸ごと解説した入門書は多くないため、どの本を組み合わせればよいのか判断しにくい人物でもあります。

結論から言うと、山県昌景を初心者が学ぶなら、「本人の生涯」「武田家臣団での立場」「赤備え」「長篠の戦い」を別々の本で補いながら読むのがおすすめです。

  • 山県昌景本人の生涯を歴史小説で読みたい人は、小川由秋『山県昌景』
  • マンガで武田家臣団の中の昌景を知りたい人は、『マンガで読む 武田二十四将』
  • 武田四天王の中で昌景を比べたい人は、『武田信玄と武田四天王』
  • 『甲陽軍鑑』に伝わる武田家と昌景を自分で読みたい人は、『甲陽軍鑑』
  • 武田家全体の歴史から昌景の時代を理解したい人は、『武田三代 信虎・信玄・勝頼の史実に迫る』
  • 昌景が戦死した長篠を研究から深く知りたい人は、『長篠合戦と武田勝頼』
  • 音声で長篠と昌景の最期に触れたい人は、Audible『長篠合戦(日本合戦譚より)』

この記事では、山県昌景を初めて学ぶ人に向けて、「おすすめ本・Audible」「読む順番」「選び方」をまとめます。
「赤備えの猛将」という有名なイメージからもう一歩進み、武田家で何を任され、信玄亡きあとをどう生きた人物なのかまで見ていきます。

 

山県昌景の本は、初心者なら「赤備え」と「武田家での役割」で選ぶ

山県昌景の本を選ぶときは、最初に「読む目的」を決めると迷いにくくなります。
昌景は赤備えや長篠の戦死ばかりが注目されやすいため、それ以外に何を知りたいのかを決めると本を選びやすくなります。

山県昌景について知りたい人の目的を、大きく7つに分けてみました。

目的向いている本・Audible選ぶ理由
①昌景本人の生涯を物語で知りたい『山県昌景』本人を主人公にした長編歴史小説で人生を追える
②マンガで武田家臣団を整理したい『マンガで読む 武田二十四将』飯富虎昌や馬場信春などとの関係を視覚的に整理できる
③武田四天王を比べながら読みたい『武田信玄と武田四天王』昌景だけでなく、馬場信春・内藤昌秀・高坂虎綱も物語で読める
④軍記に残った昌景像を確認したい『甲陽軍鑑』後世へ伝えられた武田家の事績や人物像を原文と現代語訳で読める
⑤武田家全体から昌景の時代を知りたい『武田三代』信玄から勝頼へ移る時代を現在の研究から整理できる
⑥長篠の戦いを深く知りたい『長篠合戦と武田勝頼』「鉄砲対騎馬」という単純な図式から離れて合戦を考えられる
⑦音声で長篠と昌景の最期に触れたいAudible『長篠合戦(日本合戦譚より)』昌景が登場する長篠の物語を41分で聴ける

山県昌景を最初から「長篠で死んだ赤備えの猛将」とだけ見てしまうと、信玄時代にどのように地位を上げ、なぜ重要な仕事を任されたのかが抜け落ちます。
まず人物と武田家臣団を知り、そのあと史料・武田三代・長篠へ広げると、昌景の人生を時間の流れで理解できます。

特に注目したいのは、信玄と勝頼という二人の当主に仕えた点です。
信玄のもとで地位を築いた重臣が、当主の死後に新しい体制で何を背負ったのかという視点を持つと、長篠の戦いも単なる「名将の討死」とは違って見えてきます。

 

山県昌景のおすすめ本・Audible7選を紹介

山県昌景の本は、学習マンガ、歴史小説、研究書、軍記、Audibleなど、形式によって読みやすさが変わります。
初心者は、価格やページ数だけでなく、自分がどのくらい深く知りたいかで選ぶと失敗しにくいでしょう。

今回紹介する7作品を先に比較しました。

本・Audible価格・ページ数など難易度向いている人購入先
①『山県昌景 武田軍団最強の「赤備え」を率いた猛将』

・765円〜
・458ページ
・Kindle版あり
普通昌景本人の生涯を歴史小説で読みたい人
②『マンガで読む 武田二十四将』

・1,320円
・170ページ
やさしい武田家臣団の中で昌景を知りたい人
③『武田信玄と武田四天王』

・880円
・416ページ
・Kindle版あり
普通昌景とほかの四天王を物語で比べたい人
④『甲陽軍鑑』

・1,650円
・416ページ
やや詳しい後世に伝わった武田家と昌景を読みたい人
⑤『武田三代 信虎・信玄・勝頼の史実に迫る』

・1,452円
・416ページ
・Kindle版あり
普通からやや詳しい武田家全体の歴史から昌景を知りたい人
⑥『長篠合戦と武田勝頼』

・2,860円
・299ページ
やや詳しい昌景が戦死した長篠を研究から深めたい人
⑦Audible『長篠合戦(日本合戦譚より)』

・再生時間41分やさしい音声で長篠と昌景の最期に触れたい人

『山県昌景 武田軍団最強の「赤備え」を率いた猛将』は、小川由秋によるPHP文庫の歴史小説で、今回の7作品では昌景本人を最も長く追える作品です。

『マンガで読む 武田二十四将』は、すずき孔著・平山優監修の170ページの本です。
「山県昌景―血よりも濃き信玄との絆」という独立章があり、飯富虎昌、馬場信春、内藤昌秀、春日虎綱などと一緒に武田家臣団を学べます。

『武田信玄と武田四天王』は、野中信二による歴史小説です。
馬場信春、山県昌景、内藤昌秀、高坂虎綱という四人を軸に、信玄を支えた武将たちの人生を読めます。

『甲陽軍鑑』は、佐藤正英による校訂・現代語訳です。
全59品の中から14品を収録し、原文と現代語訳を読み比べられるため、物語だけではなく武田家について伝えられてきた文献そのものへ進みたい人に向いています。

『武田三代 信虎・信玄・勝頼の史実に迫る』は、平山優によるPHP新書です。
信虎・信玄・勝頼という三代を現在の研究成果から見直しており、信玄の死から勝頼の時代へ移る中で昌景を見るために役立ちます。

『長篠合戦と武田勝頼』は、平山優による長篠研究の本です。
武田騎馬軍団と織田方の鉄砲という有名な図式をそのまま受け入れるのではなく、勝頼や武田軍がなぜ決戦へ進んだのかを考え直せます。

Audible『長篠合戦(日本合戦譚より)』は、菊池寛の作品を桜悟さんの朗読で聴ける音声作品です。
原作には山県昌景が長篠の決戦を前にした軍議や出陣場面に登場するため、昌景の記事で紹介する意味がある作品と判断しました。

 

山県昌景本人の生涯を歴史小説で読むなら、『山県昌景』がおすすめです!

山県昌景を初めて学ぶ人が、本人の人生を一人の物語として読みたいのであれば、小川由秋『山県昌景 武田軍団最強の「赤備え」を率いた猛将』がおすすめです。
本人だけを主人公にした本が多くない山県昌景にとって、最初の軸を作りやすい1冊です。

昌景を調べ始めると、最初から「山県昌景」という名前だったわけではない点で迷いやすくなります。
飯富源四郎として信玄に仕え、兄・飯富虎昌の死後に山県氏を継いだという流れを、一つの人生として物語で追えることには大きな意味があります。

この本を最初に読む価値は、赤備えや長篠だけを切り取らず、その前にどんな時間があったのかを考えられるところです。
人は最後の有名な場面だけでできているわけではありません。
若いころから積み重ねた働きがあり、その結果として重要な部隊や地域を任されるようになったと見ると、昌景の最期にも違う重みが出ます。

私が山県昌景に惹かれるのは、派手な「猛将」という言葉と、実際に求められた責任の大きさに差があるところです。
赤い甲冑で敵へ向かう場面は想像しやすいですが、長く組織で働く立場から見ると、主君から重要な仕事を任され続けることのほうが難しいのではないかと感じます。

なお、この本は歴史小説です。
昌景の勇猛さを印象づける物語的な表現が多いため、会話や心情まで史実として覚えるのではなく、まず人物へ興味を持つための本として読み、その後に研究書へ進むのがおすすめです。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
山県昌景を初めてじっくり読みたい人本人を主人公にした長編で人生を追える
飯富源四郎時代から知りたい人名前が変わる前から一人の人物として読み進められる
歴史小説が好きな人人物の感情や人間関係を想像しながら楽しめる
赤備えに興味がある人山県昌景を象徴する部隊を物語の中で読める

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
史実だけを整理したい人歴史小説なので創作を含みます
短時間で概要だけ知りたい人446ページある長編です
長篠の研究を中心に読みたい人『長篠合戦と武田勝頼』へ進むほうが目的に合います

山県昌景という人物へ最初に関心を持つ本としては、今回の7作品で最も選びやすい1冊です。
読み終えたあとに史実寄りの本を読むと、小説で印象に残った場面を自分で確かめる楽しみも生まれます。

 

マンガで武田家臣団を整理するなら、『マンガで読む 武田二十四将』がおすすめです!

山県昌景を最初から長編小説で読むのが大変そうだと感じる人には、『マンガで読む 武田二十四将』がおすすめです。
山県昌景には一つの章が用意されています。

この本の強みは、昌景だけを見るのではなく、兄の飯富虎昌、馬場信春、内藤昌秀、春日虎綱、山本勘助、武田信繁などを同じ一冊で確認できるところです。
誰と同じ時代に働き、武田家臣団のどこにいたのかを視覚的に整理できます。

初心者にとって、昌景の名前の変化は意外と重要です。
「飯富源四郎」と書かれている時期と「山県昌景」と呼ばれる時期を別人のように感じてしまうと、その後の本も読みづらくなります。
先にマンガで顔と人物関係を結びつけておけば、長編小説や研究書へ進んだときの負担を減らせます。

また、「武田二十四将」という言葉を知るきっかけにはなりますが、二十四将を当時から固定されていた二十四人の役職名のように考える必要はありません。
まずは武田家臣団を広く知るための人物列伝として利用し、その後に個々の人物へ進む読み方が合います。

私の場合、人物が多い戦国史では、最初にこうしたマンガや人物一覧で位置関係を確認してから文章中心の本へ進むほうが楽しめます。
知っている名前が増えるだけで、同じ文章でも「これはあの人か」とつながる瞬間が増えるからです。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
歴史本に慣れていない人マンガで人物関係を整理しやすい
武田家臣団も一緒に知りたい人主要家臣を一冊で確認できる
飯富虎昌との関係を知りたい人兄弟が別章で登場するため流れを追いやすい
史跡巡りにも興味がある人巻末に史跡ガイドと武田氏関連年表がある

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
昌景だけを一冊丸ごと読みたい人武田家臣団全体の人物列伝です
長篠を詳しく研究したい人合戦研究書ではありません
原文史料を読みたい人『甲陽軍鑑』などへ進むほうが合います

「山県昌景の名前は知っているが、飯富虎昌や馬場信春との関係がまだ曖昧」という人には、とくに使いやすい1冊です。
最初に人間関係の地図を作る本として読むと、その後の学びが楽になります。

 

武田四天王の中で昌景を見るなら、『武田信玄と武田四天王』がおすすめです!

山県昌景だけではなく、信玄を支えたほかの重臣と比較しながら読みたい人には、野中信二『武田信玄と武田四天王』がおすすめです。
馬場信春、山県昌景、内藤昌秀、高坂虎綱という四人を中心にした歴史小説となっています。

山県昌景を一人だけ読むと、「赤備えを率いた猛将」という個性が強く残ります。
一方、他の重臣と一緒に読むと、武田家の強さは同じタイプの武将を何人も集めた結果ではなく、役割の異なる人材が信玄の周囲にいたことから生まれたのだと考えやすくなります。

私は、この比較が山県昌景を読むうえで大切だと思います。
職場でも同じですが、優秀な人が全員同じ強みを持っている必要はありません。
前線で力を発揮する人、守りを任される人、交渉する人、情報を集める人がいて、組織としての強さが生まれます。

武田四天王という枠から読むと、「昌景は何が他の重臣と違ったのか」という問いが生まれます。
単に「四人ともすごい」で終わらず、一人ずつの役割を比べてみると、武田家臣団そのものへの興味も広がるでしょう。

この本も歴史小説なので、人物の会話や感情をそのまま史実と考える本ではありません。
『山県昌景』が一人の人生へ近づく本だとすれば、こちらは複数の重臣を並べ、組織を見るための物語として読むと役割が重なりません。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
武田四天王に興味がある人四人を同じ物語の中で読める
昌景をほかの重臣と比べたい人一人だけを読むときとは違う特徴が見えやすい
武田家臣団の組織に興味がある人信玄が複数の重臣に支えられた姿を想像しやすい
歴史小説をじっくり読みたい人416ページで読み応えがある

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
昌景本人だけを詳しく読みたい人四天王全体が大きな柱です
史料から人物像を確認したい人歴史小説として読む作品です
最初に短く知りたい人400ページを超える文庫です

『山県昌景』を読んだあとにこの本へ進むと、「昌景自身の人生」から「信玄を支えた人々」へ視野を広げられます。
同じ歴史小説でも、二冊の役割を分けて読むと内容が重なりにくくなります。

 

軍記に残った山県昌景を読むなら、『甲陽軍鑑』がおすすめです!

歴史小説やマンガから一歩進み、武田家について後世へ伝えられてきた文献を自分で読んでみたい人には、佐藤正英『甲陽軍鑑』がおすすめです。
原文に現代語訳を付けているため、原文だけの史料集より読みやすくなっています。

『甲陽軍鑑』は、武田信玄・勝頼時代の甲州武士の事績、軍法、心構え、合戦などを伝える大部の書物です。
この文庫版では全59品から14品が選ばれており、「信玄公御時代大将衆の事」などを通して武田家の記憶へ触れることができます。

ここで初心者が大切にしたいのは、『甲陽軍鑑』に書いてあることをすべて「その場で記録された絶対に正しい事実」と考えないことです。
後世に武田家がどう語られ、武将たちがどのような人物として記憶されたのかを見る資料として読むと、歴史小説とは違う面白さがあります。

山県昌景には勇猛な逸話が数多く伝わっています。
その中には後世の軍記を通して広まった話もあるため、「有名だから史実」と決めず、どの文献から伝わっているのかを見る習慣をつけると、歴史の読み方そのものが変わります。

私も歴史人物を調べるとき、好きになった人物ほど都合のよい逸話だけを信じないようにしたいと思います。
英雄らしい話を楽しみつつ、「この話はいつ書かれたのだろう」と考えるようになると、歴史は暗記ではなく調べる楽しみに変わっていきます。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
武田家の軍記を読んでみたい人原文と現代語訳を見比べられる
昌景の逸話の背景に興味がある人武田家の人物像がどう伝わったかを考えられる
歴史小説の次に進みたい人物語とは違う読み方を経験できる
武田信玄や勝頼にも興味がある人武田家全体の事績や軍法にも触れられる

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
山県昌景を初めて学ぶ人先に人物関係を知ったほうが理解しやすいです
昌景だけを一冊丸ごと読みたい人武田家全体について記した文献です
現代研究だけを読みたい人後世に成立した軍記を読む本です

最初の1冊には選びませんが、山県昌景を好きになったあとには価値が高い本です。
「赤備えの名将」という完成した人物像を受け取るだけではなく、その人物像が何をもとに伝わってきたのかを自分で考えられます。

 

武田家全体から山県昌景の時代を見るなら、『武田三代』がおすすめです!

山県昌景を一人の英雄として読む段階から進み、武田家の政治や時代の変化まで知りたい人には、平山優『武田三代 信虎・信玄・勝頼の史実に迫る』がおすすめです。
信虎・信玄・勝頼という三代を通して、戦国武田氏の歴史を現在の研究成果から見直せます。

山県昌景の人生を理解するうえで重要なのは、信玄だけを見て終わらないことです。
昌景は信玄のもとで重臣となりましたが、1573年に信玄が亡くなったあとも生き、勝頼の時代に長篠の戦いを迎えました。

この二年間は、昌景を見るうえで大きな意味があります。
長く仕えた主君が亡くなり、新しい当主のもとで自分はどう働くのか。
現在の会社や組織とは状況がまったく違いますが、長く組織にいる人ほど、上に立つ人が変わったときの難しさを少し想像できるのではないでしょうか。

また、信玄と勝頼を「名君と愚将」という簡単な対比だけで読むと、長篠の敗北も最初から決められていたように見えてしまいます。
この本で武田三代の変化を知ってから長篠へ進むと、昌景たち宿老が置かれた状況も、もう少し広い視点から考えられます。

人物小説は一人の感情へ近づける面白さがありますが、この本の役割は反対です。
一度人物から距離を取り、政治・外交・領国拡大・当主交代の中へ昌景を置き直すために読むとよいでしょう。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
武田家全体を知りたい人信虎・信玄・勝頼の三代を通して読める
史実寄りに学びたい人現在の研究成果をもとに武田氏を見直せる
信玄死後の時代に興味がある人勝頼への代替わりを大きな流れで確認できる
長篠を読む前の背景を知りたい人決戦だけでなく武田家の変化から考えられる

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
昌景本人だけを読みたい人武田三代が主題です
物語として楽しみたい人歴史小説ではありません
最初に短く知りたい人442ページあり情報量も多めです

山県昌景を学ぶほど、結局は「武田家そのものを知らなければ理解し切れない」と感じるようになります。
その段階で読むと、一人の人物記事から戦国大名家の歴史へ自然に視野を広げられる1冊です。

 

山県昌景の最期となった長篠を深く学ぶなら、『長篠合戦と武田勝頼』がおすすめです!

山県昌景が戦死した長篠・設楽原の戦いを、本格的に知りたい人には平山優『長篠合戦と武田勝頼』がおすすめです。
2014年に吉川弘文館から刊行された本で、武田勝頼と長篠合戦を現在の研究から考え直せます。

長篠の戦いは、「武田の騎馬軍団が突撃し、織田・徳川軍の大量の鉄砲に敗れた」というわかりやすい物語で覚えられがちです。
しかし、実際の合戦を考えるなら、長篠城をめぐる攻防、両軍の配置、武田側がなぜ決戦を選んだのか、鉄砲がどのように使われたのかなど、複数の問題を見る必要があります。

この本を山県昌景の記事で紹介する意味もそこにあります。
昌景が「勇敢に突撃して散った」という最期だけを覚えてしまうと、その行動を生んだ戦況や武田軍全体の判断が見えません。

年齢を重ねてから歴史を読むと、私は結果を知っている側から「なぜ逃げなかったのか」「なぜ戦ったのか」と簡単に言うことが怖くなります。
当時の人には未来の結果は見えていません。
どんな情報があり、どんな選択肢があり、その時点で何を合理的だと思ったのかを考えるほうが、歴史人物を理解するうえでは大切だと感じます。

山県昌景の最期も同じです。
敗北を知っている現代人が「無謀だった」で終わらせるのではなく、研究書で合戦全体を見てから考えると、勝頼、昌景、馬場信春、内藤昌秀らがいた戦場をより慎重に想像できます。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
長篠の戦いを深く知りたい人有名な通説だけではない合戦像を考えられる
昌景の最期の背景を知りたい人武田軍全体の状況から戦死を考えられる
武田勝頼にも興味がある人勝頼を単純な敗将像から見直せる
歴史小説から研究書へ進みたい人物語で知った長篠を史実寄りに確認できる

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
山県昌景を初めて学ぶ人先に本人や武田家臣団を知るほうが理解しやすいです
昌景だけを読みたい人勝頼と長篠合戦が中心です
小説のように読み進めたい人史料や研究上の論点も出てきます

山県昌景をある程度知った人ほど、最後に読んでほしい本です。「長篠でどう死んだのか」から、「なぜその戦場に立つことになったのか」へ疑問を変えることができます。

 

音声で山県昌景と長篠に触れるなら、Audible『長篠合戦(日本合戦譚より)』がおすすめです!

本を開く時間が少ない人には、Audible『長篠合戦(日本合戦譚より)』も候補になります。
菊池寛による歴史作品で、朗読時間は41分と短く、通勤・家事のスキマ時間でも最後まで聴きやすい長さです。

このAudibleは山県昌景だけを主人公にした作品ではありません。
それでも今回紹介する理由は、原作の長篠合戦で昌景が軍議や決戦前の重要な場面に登場し、馬場信春や内藤昌秀らとともに武田家宿老の一人として描かれているからです。

歴史小説や歴史読み物を音声で聴く良さは、人物名を何度も耳にできるところにもあります。
「山県昌景」「馬場信春」「内藤昌秀」「武田勝頼」という名前を文字だけで覚えるより、音声を併用したほうが関係を覚えやすい人もいるでしょう。

一方、この作品が書かれた時代と現在の歴史研究には差があります。
長篠合戦について現代の研究成果を学ぶ教材ではないため、菊池寛の合戦物語として楽しみ、そのあと『長篠合戦と武田勝頼』で現在の研究と比べる使い方がおすすめです。

私はこの二つの組み合わせに面白さを感じます。
同じ長篠でも、物語では人間の決断や緊迫感が残り、研究書では「その場面は何を根拠に語られているのか」を考えられます。
両方を行き来すると、歴史を好きになることと史実を確かめることを両立できます。

このAudibleが向いている人を、簡単にまとめてみました。

このAudibleが向いている人理由
読む時間が少ない人41分で最後まで聴ける
長篠の物語を聴きたい人山県昌景を含む武田家宿老が登場する
本を読む前に合戦の雰囲気を知りたい人音声で一度全体へ触れてから本へ進める
研究書を読んだあとの復習に使いたい人同じ題材を別の形で思い出せる

 

逆に、このAudibleが向いていない人を簡単にまとめてみました。

このAudibleが向いていない人理由
昌景だけを長時間聴きたい人長篠合戦全体を描く作品です
現在の研究成果を学びたい人現代の研究書ではありません
地図や布陣を確認したい人紙の本と併用するほうが理解しやすいです

山県昌景を学ぶAudibleとして万能な作品ではありませんが、「本人がきちんと登場する」「最期の長篠を聴ける」「短時間で完結する」という三つの理由から、今回の7選に入れる価値があります。

 

初心者におすすめの読む順番はこれ!

山県昌景を初めて学ぶなら、最初から『甲陽軍鑑』や長篠の研究書へ進むより、人物関係を先に整理するほうが理解しやすいです。
「飯富源四郎がのちの山県昌景である」「飯富虎昌の弟である」「信玄から勝頼の時代まで生きた」という最低限の流れがわかるだけでも、その後の本の読みやすさが変わります。

そのうえで、人物の物語、四天王との比較、武田家全体、長篠、軍記という順に視野を広げるのがおすすめです。

順番本・Audibleこの段階で意識すること
①『マンガで読む 武田二十四将』名前の変化と武田家臣団の人物関係を先に整理する
②『山県昌景』昌景本人の人生を一本の物語として追う
③『武田信玄と武田四天王』昌景だけでなく、同じ信玄を支えた重臣との違いを見る
④『武田三代』人物中心の視点から離れ、当主交代と武田家全体を理解する
⑤Audible『長篠合戦(日本合戦譚より)』最期の合戦を物語として耳から一度つかむ
⑥『長篠合戦と武田勝頼』物語の長篠と現在の研究を比べる
⑦『甲陽軍鑑』武田家の記憶が後世にどう残されたのかを自分で読む

最初のマンガでは、細かい年号を覚える必要はありません。
「飯富家から山県家へ」「信玄の重臣へ」「勝頼時代の長篠へ」という大きな線を作ることが目的です。
その線ができたあとに『山県昌景』を読むと、長い小説でも出来事を見失いにくくなります。

3冊目では、昌景を一人だけ見ていた状態から武田四天王へ広げます。
ここで「昌景だけが武田家を支えたわけではない」という当たり前の事実を意識すると、人物を必要以上に英雄化せずに読めるようになります。

後半のポイントは、Audibleと研究書を続けて使うことです。
菊池寛の作品で長篠を人間の物語として感じたあと、平山優の研究書へ進むと、「印象に残る話」と「現在の研究から考えられること」の違いに気づけます。

最後に『甲陽軍鑑』へ進むと、これまで二次的な本から受け取ってきた武田家像を、自分で文献に触れながら考え直せます。
初心者向けの読む順番とは、簡単な本から難しい本へ並べるだけではなく、人物を見る角度を一段ずつ増やしていく順番だと思います。

 

「紙の本」「Kindle」「Audible」はどれを選べばよいか…?

山県昌景を学ぶ方法は、紙の本だけではありません。
紙の本、Kindle、Audibleにはそれぞれ得意な使い方があるので、どれか一つへ決めるより、学びたい内容に合わせて組み合わせるほうが便利です。

形式向いている人山県昌景を学ぶときの使い方
紙の本人物関係や地図を確認しながら深く読みたい人武田家臣団や長篠の布陣へ何度も戻り、付箋やメモを使う
Kindle(電子書籍)長編を通勤中や外出先でも読みたい人検索機能で「山県」「飯富」「長篠」などを探しながら読む
Audible本を開けない時間も歴史へ触れたい人長篠の物語を耳で予習・復習し、あとで紙やKindleへ戻る

山県昌景を深く学ぶなら、紙の本との相性はかなり良いです。
飯富虎昌、武田信玄、武田勝頼、馬場信春、内藤昌秀など登場人物が増え、甲斐・信濃・駿河・三河と場所も広がるため、前のページへ戻りながら確認したくなるからです。

一方、『山県昌景』のような400ページを超える長編は、通勤電車で少しずつ読みたい人ならKindleが便利です。
電子書籍なら人名を検索できるため、「この人は前にどこで出てきたのか」と感じたときにも確認しやすいでしょう。

Kindle Unlimitedの対象作品は入れ替わるため、今回紹介した本が必ず読み放題になるわけではありません。
登録前に、自分が読みたい歴史本が対象になっているかを確認して利用するのがおすすめです。

Audibleは、山県昌景のように本人単独の音声作品が少ない人物では、紙の本の完全な代わりにはなりません。
その代わり、長篠など昌景が関わった出来事を通勤・家事のスキマ時間に聴き、休日に研究書で確認する使い方なら、それぞれの長所を生かせます。

 

大河ドラマ『風林火山』や蒲原城・設楽原とあわせて山県昌景を学ぶ価値とは

山県昌景は、本だけでなく大河ドラマや史跡と一緒に学ぶと、人生の前半と後半をより想像しやすくなります。
2007年のNHK大河ドラマ『風林火山』では、前川泰之さんが「飯富源四郎、後の山県昌景」役でレギュラー出演しました。

この役名は、山県昌景初心者にとって意外と重要です。
最初から「山県昌景」として登場する人物ではないため、飯富源四郎から山県昌景へ変わる流れを映像で意識すると、文章だけで学ぶより名前の変化を覚えやすくなります。

大河ドラマは歴史を楽しむ作品なので、会話や心情をそのまま史実と考える必要はありません。
本で確認した人物関係を映像で思い出し、気になった場面を自治体資料や研究書でもう一度調べる使い方が向いています。

史跡では、まず静岡市の蒲原城に注目したいです。
武田氏が蒲原城を落としたあとに昌景が入城し、周辺の武士を蒲原衆としてまとめたという記録を知ってから城を見ると、昌景を「合戦で敵を倒す人」ではなく、前線地域を任された重臣として想像できます。

山県昌景という人物だからこそ、この蒲原城の視点は大切だと思います。
赤備えの派手な姿だけを追っていると見落としやすいのですが、戦国大名の重臣には、勝った土地を守り、現地の人々をまとめ、その後も支配を続けられるようにする仕事がありました。

そして人生の終点に近い場所として訪れたいのが、愛知県新城市の設楽原です。
設楽原歴史資料館では、長篠城をめぐる攻防から設楽原での決戦へ至る経緯や、火縄銃の役割・歴史を展示しています。

新城市では、山県昌景が長篠・設楽原の戦いで散った武将の一人として現在も紹介されています。
現地には長篠・設楽原の戦いに関する史跡や資料が残り、資料館では研究紀要や入門的な冊子も販売されています。

甲府で武田家臣としての昌景を知り、蒲原城で地域を任された重臣として見て、設楽原で最期の戦場を考える。
この三つをつなげると、「赤備え」という一枚の写真のような人物像が、一人の長い人生へ変わっていきます。

本を読んでから史跡へ行く良さは、名所を見て終わらなくなることです。
「ここで誰が勝ったか」だけではなく、「昌景はこの時点で武田家の中でどんな立場だったのか」「ここへ来るまで何年働いてきたのか」と考えられるようになります。

 

山県昌景の本選びで迷ったら、まずこの1冊!

山県昌景の本選びで迷ったら、最初の1冊として私が選ぶのは、小川由秋『山県昌景 武田軍団最強の「赤備え」を率いた猛将』です。
今回紹介した7作品の中で、山県昌景本人を主人公として最も長く追えるためです。

初心者が最初に必要なのは、長篠の細かな布陣や『甲陽軍鑑』の史料論よりも、「山県昌景とは、どんな人生を送った人物なのか」という一本の線だと思います。
飯富源四郎から山県昌景へ変わり、信玄の重臣となり、信玄亡きあとも勝頼に仕えたという流れが頭の中に入れば、その後の研究書で迷いにくくなります。

長編小説から始めるのが負担なら、『マンガで読む 武田二十四将』を先に選んでください。
昌景本人だけでなく飯富虎昌や武田家臣団を一度整理しておけば、『山県昌景』へ進んだときにも人間関係がわかりやすくなります。

一方、創作を含む歴史小説より史実寄りの本から読みたい人は、『武田三代』を最初の候補にしてもよいでしょう。
昌景だけを追う本ではありませんが、武田家そのものを現在の研究から学んでから人物を深める方法もあります。

最初の本にすべての役割を求める必要はありません。
山県昌景の場合は、とくに「人物を知る本」「武田家を知る本」「長篠を知る本」を分けるほうが、赤備えと戦死だけに偏らず理解できます。

 

【まとめ】山県昌景を初心者が学ぶなら、赤備えの先にある「任され続けた重臣」の姿まで読みましょう!

山県昌景を初心者が学ぶなら、「赤備えを率いた猛将」という有名なイメージから始めて構いません。
赤一色の部隊を率い、武田四名臣の一人として知られ、長篠で戦死したという生涯は、昌景へ興味を持つ大きなきっかけになります。

そのあとに知ってほしいのが、赤備えだけでは説明できない仕事です。
飯富源四郎として信玄に仕え、山県氏の名跡を継ぎ、譜代家老として重い立場を任され、蒲原城では周辺武士をまとめて地域を守りました。
戦場で強いだけの人物に、ここまでの仕事が任されたとは考えにくいでしょう。

私が山県昌景を面白いと思うのは、「勝ち続けた名将」だからではありません。
長く仕えた武田信玄が亡くなったあとも武田家に残り、勝頼の時代を生き、最後は長篠という大きな転換点に立ったところに、人の人生としての重さを感じます。

若いころは主君のもとで自分の役割を広げ、年齢を重ねるにつれて組織の中核を担い、最後には自分を育てた時代とは違う状況で判断を迫られる。
今私は48歳ですが、この年齢になって歴史人物を読むと、若いころの武勇だけでなく、こうした「長く働いた人が背負うもの」のほうにも目が向きます。

山県昌景の本を読むことは、一人の猛将を知るだけではありません。
武田家臣団がどう成り立っていたのか、信玄から勝頼への代替わりで何が変わったのか、軍記と史実をどう区別するのか、長篠の敗北を結果だけで判断してよいのかという、戦国史のさまざまな問題へ広がっていきます。

まずは『山県昌景』や『マンガで読む 武田二十四将』で人物を知り、その後に『武田三代』『長篠合戦と武田勝頼』『甲陽軍鑑』へ進んでみてください。
大河ドラマ『風林火山』や蒲原城、設楽原の史跡までつなげていくと、「赤備えの山県昌景」から、武田家で長く責任を任され続けた一人の武将へ、人物像が大きく広がるはずです。

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