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支倉常長のおすすめ本・Audible7選!初心者向けに読む順番も解説

【人物】は行
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伊達政宗の命を受け、太平洋と大西洋を越えてスペイン・ローマまで旅した支倉常長。
戦国時代から江戸時代へ移り変わる時期に、日本からヨーロッパへ向かった人物として興味を持った人も多いのではないでしょうか。

支倉常長は1570年ごろに生まれたとされる伊達家臣で、通称は六右衛門です。
仙台市博物館によると、1613年に伊達政宗が派遣した慶長遣欧使節の一員として現在の宮城県石巻市・月浦から出航し、スペイン領メキシコを経てスペイン、ローマへ向かいました。

使節の目的は、スペイン国王にメキシコとの直接貿易を認めてもらうことと、ローマ教皇に仙台領への宣教師派遣を求めることでした。
仙台市博物館では、幕府側とも連絡を取りながら進められた正式な外交使節団だったと説明しています。

一行はサン・フアン・バウティスタ号で出航し、総勢は180人あまりでした。
メキシコ到着後、その多くは現地に残り、常長を中心とする約30人が大西洋を渡ってヨーロッパへ進みます。
常長はスペインで洗礼を受け、ローマでは教皇パウロ5世に謁見し、ローマ市民権も与えられました。

ここまで聞くと、「世界を旅して外交に成功した人物」と思うかもしれません。
ところが、常長が海外にいる間、日本ではキリスト教への取り締まりが強まり、スペイン側も日本との関係に慎重になっていきました。

宮城県によると、使節は通商や宣教師派遣について確かな回答を得ることができず、所期の目的を達成できないまま1620年に帰国しています。
出発から帰国まで約7年という長い旅でした。

支倉常長を初心者が学ぶときに難しいのは、「ヨーロッパへ行った日本人」という結果だけを覚えると、なぜそこまで遠くへ行ったのかが見えにくいところです。
伊達政宗の外交、メキシコとの貿易、フランシスコ会宣教師ルイス・ソテロ、徳川幕府の対外政策、キリスト教禁制がつながって初めて、常長の旅の意味が見えてきます。

さらに常長自身についても、「政宗の命令に従った家臣」「洗礼を受けたキリスト教徒」「外交使節」という複数の立場があります。
どの立場を中心に見るかによって、同じ7年間の旅でも印象が変わります。

支倉常長について知りたい人は、次の点を最初に整理しておくと理解しやすいでしょう。

  • 伊達政宗の家臣として慶長遣欧使節の大使を務めた
  • 1613年に石巻・月浦を出航した
  • サン・フアン・バウティスタ号で太平洋を横断した
  • メキシコを経由してスペインへ渡った
  • スペインでキリスト教の洗礼を受けた
  • ローマで教皇パウロ5世に謁見した
  • ローマ市民権を与えられた
  • 日本国内のキリスト教政策が旅の途中で大きく変化した
  • 通商や宣教師派遣という目的は実現しなかった
  • 1620年に帰国し、その約2年後に亡くなった

もう一つ、支倉常長を学ぶうえで忘れたくないのが、本人が持ち帰った品々です。
仙台市博物館には、支倉常長像やローマ市公民権証書など24件47点の「慶長遣欧使節関係資料」が残され、2001年に国宝へ指定されています。

そのうち「支倉常長像」「ローマ市公民権証書」「ローマ教皇パウロ5世像」の3点は、2013年にユネスコ「世界の記憶」へ登録されました。
400年以上前の海外渡航を、後世の物語だけではなく、実際に本人が持ち帰った資料から確認できることは支倉常長を学ぶ大きな魅力です。

結論から言うと、支倉常長を初心者が学ぶなら、最初に本人の生涯と慶長遣欧使節の流れを知り、そのあと旅程、信仰、海外側に残る記録、伊達政宗の外交、世界史へ広げていくのがおすすめです。

  • 支倉常長本人の生涯を史実から知りたい人は、五野井隆史『支倉常長』
  • 海外史料や肖像画まで詳しく読みたい人は、大泉光一『支倉常長 慶長遣欧使節の真相』
  • 使節の旅を写真と現在の風景から感じたい人は、『伊達侍と世界をゆく』
  • 使節団全体やスペインに残る記憶まで知りたい人は、『ヨーロッパに消えたサムライたち』
  • 常長をモデルにした物語から使命と信仰を考えたい人は、遠藤周作『侍』
  • 史料や国宝資料まで本格的に調べたい人は、『仙台市史 特別編8 慶長遣欧使節』
  • 慶長遣欧使節を世界史の中で聴きたい人は、Audible『世界史の中の戦国大名』

この記事では、支倉常長を初めて学ぶ人に向けて、おすすめ本・Audible7作品を紹介します。
初心者向けの読む順番や「紙の本」「Kindle」「Audible」の使い分け、大河ドラマ『独眼竜政宗』や仙台市博物館、サン・ファン館とあわせて学ぶ面白さまでまとめました。

 

支倉常長の本は、初心者なら「本人の人生」と「慶長遣欧使節の目的」で選ぶ

支倉常長の本を選ぶときは、最初に「読む目的」を決めると迷いにくくなります。
常長本人を知りたいのか、慶長遣欧使節という外交事業を知りたいのか、それともヨーロッパで何が起きたのかを詳しく読みたいのかによって、選ぶ本が変わります。

支倉常長について知りたい人の目的を、大きく7つに分けてみました。

目的向いている本・Audibleこの作品を選ぶ意味
①常長本人の生涯を知りたい『支倉常長』人物評伝として生涯と時代背景を順番に確認できる
②海外側の記録まで詳しく読みたい『支倉常長 慶長遣欧使節の真相』スペインなどに残る史料や肖像画から常長を考えられる
③7年間の旅を目で確かめたい『伊達侍と世界をゆく』使節が訪れた土地を写真と紀行文でたどれる
④使節団全体とスペイン側の記憶を知りたい『ヨーロッパに消えたサムライたち』政宗・幕府・宣教師など複数の立場から使節を読める
⑤歴史小説から常長を考えたい『侍』使命・信仰・帰国後という問題を物語から考えられる
⑥一次史料や国宝資料まで確認したい『仙台市史 特別編8 慶長遣欧使節』国内外の文献・美術資料・論考をまとめて調べられる
⑦日本史から世界史へ視野を広げたいAudible『世界史の中の戦国大名』政宗の遣欧使節を戦国大名の海外外交の中で考えられる

支倉常長の本は、評伝、歴史ノンフィクション、フォトエッセー、歴史小説、研究書、Audibleなど、形式によって読みやすさが変わります。
初心者は、価格やページ数だけでなく、自分がどのくらい深く知りたいかで選ぶと失敗しにくいでしょう。

とくに支倉常長の場合、「伊達政宗に命じられてヨーロッパへ行った」という一文だけでは、7年間の旅を理解できません。
メキシコ、スペイン、フランス、イタリア、フィリピンなど複数の地域が登場するため、最初は人物と旅程をつかみ、そのあと外交や宗教へ進むと読みやすくなります。

また、慶長遣欧使節を「成功か失敗か」だけで決めないことも大切です。
通商や宣教師派遣という当初の目的は実現しませんでした。
一方で、常長がローマ教皇へ謁見した事実や、当時のヨーロッパに日本からの使節の記録が残され、本人が持ち帰った資料も現存しています。

目的を達成できなかった外交と、400年以上残った歴史的な足跡。
この二つを分けて考えると、支倉常長という人物はずっと興味深くなります。

 

支倉常長のおすすめ本・Audible7選を紹介

ここからは、支倉常長を初めて学ぶ人におすすめしたい本・Audible7作品を紹介します。
人物評伝を何冊も並べるのではなく、それぞれ違う角度から常長と慶長遣欧使節を学べる作品を選びました。

今回紹介する7作品を先に比較してみました。

本・Audible価格・ページ数など難易度この作品ならではの役割購入先
①『支倉常長』

・2,090円
・279ページ
普通常長本人の生涯を人物評伝で学ぶ
②『支倉常長 慶長遣欧使節の真相』

・1,980円〜
・271ページ
やや詳しい海外史料や肖像画から常長を深く考える
③『伊達侍と世界をゆく』

・327円〜
・189ページ
やさしい使節が訪れた土地を写真と紀行文でたどる
④『ヨーロッパに消えたサムライたち』

・279円〜
・243ページ
普通使節団とスペインに残る記憶を追う
⑤『侍』

・1,045円
・512ページ
・Kindle版あり
やさしいから普通歴史小説から使命・信仰・帰国を考える
⑥『仙台市史 特別編8 慶長遣欧使節』・6,285円
・625ページ
詳しい文献史料・国宝資料・研究論文まで確認する
⑦Audible『世界史の中の戦国大名』

・再生時間8時間52分
・Kindle版あり
普通慶長遣欧使節を世界史の中で聴く

 

①支倉常長本人の生涯を知るなら、五野井隆史『支倉常長』がおすすめです!

支倉常長を初めて本格的に学ぶなら、五野井隆史『支倉常長』がおすすめです。

伊達政宗に見出された常長が慶長遣欧使節の大使を務め、メキシコとの通商を求めてヨーロッパへ渡り、スペインで洗礼を受け、ローマ教皇に謁見した生涯をたどっています。
帰国後だけでなく、その後長く埋もれていた常長の足跡が近代になって再び知られていく過程まで視野に入っている点も特徴です。

この本を最初におすすめする理由は、「慶長遣欧使節」という大きな出来事の中で、支倉常長本人が見えなくなるのを防げるからです。
遣欧使節の本では伊達政宗、ルイス・ソテロ、スペイン国王、ローマ教皇、徳川幕府など多くの人物が登場します。

まず常長自身の生涯を時系列で知っておけば、海外での出来事を「使節団の事件」として覚えるのではなく、「常長がどの時点で何を経験したのか」と整理できます。
人物から歴史へ広げたい初心者には、この順番がわかりやすいでしょう。

また、支倉常長を学ぶときには、帰国までで本を閉じないことも大切です。
海外ではローマ市民権を与えられるほど歓迎された人物が、帰国したときには日本のキリスト教政策が大きく変わっていました。
出発時と帰国時で社会の条件が変化していたことを知ると、7年間という時間の長さも実感できます。

私が常長の人生で強く感じるのは、「命じられた仕事を最後まで続けても、出発したときと同じ答えが待っているとは限らない」というところです。
本人の努力だけでは変えられない政治や国際情勢の変化まで含めて読むと、華やかな海外旅行ではない常長の姿が見えてきます。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
支倉常長を初めて本格的に学ぶ人人物の生涯を順番に確認できる
史実を中心に読みたい人歴史小説ではなく人物評伝として読める
帰国後まで知りたい人海外渡航だけで人物像を終わらせずに済む
次に読む本を決めたい人常長の生涯全体を知ることで興味のある分野が見つかりやすい

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
写真を多く見ながら読みたい人『伊達侍と世界をゆく』のほうが目的に合います
歴史小説を楽しみたい人遠藤周作『侍』のほうが向いています
一次史料を細かく調べたい人『仙台市史 特別編8 慶長遣欧使節』へ進むほうが適しています

最初の1冊で人物関係や時代の流れをつかみたい人には、今回の7作品の中で最もおすすめしやすい本です。
常長本人を知ってから使節団や世界史へ進むことで、次の本で登場する出来事も理解しやすくなります。

 

②海外に残る史料から常長を深く読むなら、『支倉常長 慶長遣欧使節の真相』がおすすめです!

人物評伝を読んだあと、「ヨーロッパ側には支倉常長がどのように記録されているのか」と気になった人には、大泉光一『支倉常長 慶長遣欧使節の真相―肖像画に秘められた実像―』がおすすめです。

本書は、スペインをはじめ海外に残された史料を使いながら、約7年間の使節の行動と常長の実像を検討しています。
日本側だけでなく、交渉相手だったヨーロッパ側の記録へ目を向けたい人に向いているでしょう。

支倉常長の歴史が面白いのは、日本だけを調べても全体像が完成しないところです。
常長たちはメキシコ、スペイン、フランス、イタリアなどを訪れたため、旅の記録や外交交渉の手がかりも海外に残されています。

仙台市博物館でも、通訳兼交渉係として使節に同行したローマの歴史学者シピオーネ・アマーティが、1615年に『伊達政宗遣欧使節記』を刊行したことを紹介しています。
政宗とソテロの関係、使節派遣までの経緯、スペイン国王やローマ教皇との謁見などが記された重要な史料です。

海外史料を読む意味は、「日本では英雄とされる人物が、外国でも同じように見られていたのか」を確認できることです。
現地の政治状況や宗教政策から見ると、常長の立場は日本国内から見る場合とは違って見える可能性があります。

本書には著者による解釈も含まれるため、一つの説を最終的な答えとして覚えるより、五野井隆史『支倉常長』や仙台市史などと比べながら読むのがおすすめです。
同じ人物について複数の研究を読むことで、史料からどこまで言えるのかを考えられるようになります。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
人物評伝を一冊読んだ人次の段階として海外側の史料へ進める
スペインでの交渉を詳しく知りたい人海外資料をもとに使節の苦闘を考えられる
支倉常長像に興味がある人肖像画も人物像を考える材料になります
複数の研究を比較したい人一つの伝記からさらに考察を深められる

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
最初に常長の生涯だけを整理したい人人物叢書『支倉常長』を先に読むほうがわかりやすいです
気軽な旅行記を読みたい人『伊達侍と世界をゆく』のほうが向いています
歴史小説を探している人研究・歴史書として読む本です

支倉常長は海外へ渡った人物だからこそ、日本史だけで完結させず外国側の記録を見る価値があります。
「日本から見た常長」と「ヨーロッパから見た使節」を比べてみたい人におすすめです。

 

③7年間の旅を写真と現在の風景から知るなら、『伊達侍と世界をゆく』がおすすめです!

支倉常長の長い旅を、文字だけではなく写真を見ながら理解したい人には、篠田有史写真・工藤律子文『伊達侍と世界をゆく 「慶長遣欧使節」とめぐる旅』がおすすめです。

この本は、慶長遣欧使節が訪れたラテンの国々を実際にたどり、現在の風景を写真と文章で紹介するフォトエッセーです。
歴史書の年表だけでは想像しにくい移動距離や土地の雰囲気を感じられる点が、ほかの6作品にはない特徴です。

常長の旅は、宮城からスペインへ一直線に向かったものではありません。
月浦から太平洋を渡ってメキシコへ入り、陸路を進み、大西洋を越えてヨーロッパへ向かいます。さらに帰国にも長い時間がかかりました。

地名だけを並べると覚えにくくても、写真と一緒に見ると「この人物は本当にここまで移動したのか」と距離を実感しやすくなります。
飛行機のない17世紀初頭に、船を乗り継ぎながら7年間を過ごしたという事実も、人物の経験として考えやすくなるでしょう。

私がこの本を読む価値として大きいと思うのは、常長を「肖像画の中の歴史人物」から実際に移動した人間として考えられるところです。
異なる言語、宗教、食事、気候の中へ入り、交渉結果が見えないまま旅を続ける負担は、年表を眺めているだけではなかなか想像できません。

ページ数も多くないので、分厚い研究書へ進む前に読める点も初心者には助かります。
最初から細かな外交史を理解するより、「常長たちはどこへ行ったのか」を先につかみたい人にも向いています。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
写真を見ながら歴史を学びたい人現在の風景と使節の旅を結びつけられる
海外旅行が好きな人使節が訪れた土地を現代の姿から楽しめる
旅程がわかりにくい人場所を確認しながら7年間の移動を整理できる
厚い専門書の前に読みたい人190ページで写真も多いフォトエッセーです

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
常長の人生を細部まで研究したい人人物評伝や研究書を組み合わせる必要があります
一次史料を読みたい人仙台市史のほうが目的に合います
外交交渉の詳細だけを知りたい人旅行・写真にも大きな比重がある本です

人物名や年号を覚えることに疲れたとき、写真から歴史へ戻れる本でもあります。
常長の旅の距離を実感したあとに人物評伝を読み直すと、一つひとつの移動の重みも違って感じられるでしょう。

 

④使節団全体とスペインに残る記憶を読むなら、『ヨーロッパに消えたサムライたち』がおすすめです!

支倉常長一人から視野を広げ、慶長遣欧使節という集団そのものを知りたい人には、太田尚樹『ヨーロッパに消えたサムライたち』がおすすめです。

スペインのコリア・デル・リオに暮らす「ハポン」という姓を持つ人々を入口として、慶長遣欧使節の足跡を追っています。
彼らが本当に使節団の子孫なのかという問いも含め、政宗、幕府、宣教師など、それぞれの思惑を考えながら使節の全体像へ進む歴史ノンフィクションです。

ここで大切なのは、「ハポン姓の人々=使節団の子孫」と確定した事実として読むのではないことです。
出版社の紹介でも、「はたして彼らはその末裔なのだろうか」という問いとして提示されています。

この本を読むと、支倉常長の旅は一人の英雄物語ではなかったことがわかってきます。
最初に日本を出たのは180人を超える集団で、その中には宣教師や商人など立場の違う人々がいました。
ヨーロッパまで進んだ人数はさらに少なくなります。

「支倉常長がヨーロッパへ行った」という表現では、一人旅のように感じることがあります。
実際には多くの人が関わった国家的な外交・交易事業であり、それぞれに目的がありました。
その違いを見ることが本書の面白さです。

また、400年前の使節が日本だけでなくスペイン側にも記憶を残していることを知ると、歴史を見る場所も広がります。
日本史の人物を日本国内の史跡だけで終わらせず、海外に残された記憶までたどれる点は、支倉常長ならではでしょう。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
慶長遣欧使節全体を知りたい人常長一人ではなく使節団へ視野を広げられる
スペイン側に残る記憶が気になる人コリア・デル・リオとハポン姓の人々を追える
歴史ノンフィクションが好きな人謎を追う形で使節の歴史を読める
政宗や宣教師の思惑も知りたい人複数の立場から外交を考えられる

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
常長本人の伝記だけを読みたい人使節団や海外側の話にも大きく広がります
現在新品で買いやすい本を探している人出版社品切れのため中古本や図書館も候補になります
最新の研究論文を確認したい人専門的な研究書とは役割が違います

支倉常長の人生を一冊読んだあとに選ぶと、「大使一人」から「使節団全体」へ視点を変えられます。
常長だけでは説明できない慶長遣欧使節の複雑さを知りたい人に向いています。

 

⑤使命と信仰を歴史小説から考えるなら、遠藤周作『侍』がおすすめです!

史実を整理したあと、一人の人間が異文化と宗教の中で何を感じたのかを物語から考えたい人には、遠藤周作『侍』がおすすめです。

支倉常長の慶長遣欧使節に題材を得た歴史小説です。
藩主の命を受けた「侍」が宣教師とともにメキシコ、スペイン、ローマへ向かい、使命を果たすため洗礼を受け、長い旅の末に日本へ帰る物語が描かれます。

ここでは、史実と小説を分けて読む必要があります。
主人公や宣教師には小説としての設定が加えられているため、常長本人の言動をそのまま再現した本ではありません。

それでも『侍』を選ぶ価値があるのは、史料だけでは読み取りにくい「自分の意思と主君から与えられた使命は同じだったのか」「洗礼は本人にとって何を意味したのか」といった問いを考えられるからです。

支倉常長はスペインでドン・フィリッポ・フランシスコという洗礼名を受けました。
歴史の年表では「洗礼を受ける」と一行で終わりますが、宗教が政治や外交と深く結びついていた時代に、異国の信仰を受け入れることが本人にどのような意味を持ったのかは簡単には答えられません。

遠藤周作はキリスト教を大きなテーマとして書き続けた作家です。
そのため『侍』では、外交の成果を確認するというより、人が使命や信仰をどう受け止めるのかへ読者の関心が向かいます。

私なら、この本は最初ではなく史実を一冊読んだあとに読みます。
どこまでが史実で、どこからが作家による人物造形なのかを意識できれば、小説だからこそ考えられる部分を安心して楽しめるからです。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
歴史小説が好きな人慶長遣欧使節を人間の物語として読める
常長の信仰に興味がある人洗礼やキリスト教を考えるきっかけになる
人物の心情を想像しながら読みたい人歴史書とは違う方法で使命や葛藤を考えられる
電子書籍で長編を読みたい人新潮社公式で電子書籍版も確認できます

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
史実だけを確認したい人歴史小説なので創作が含まれます
短時間で一冊読みたい人512ページの長編です
使節の史料を調査したい人人物叢書や仙台市史のほうが目的に合います

常長が「何をした人物か」を知ったあと、「その立場に自分が置かれたらどう感じるだろう」と考えたい人に向いています。
史実を覚える読書とは違う役割を持たせることで、今回の7作品の中でも独自の一冊になります。

 

⑥史料と国宝資料まで本格的に調べるなら、『仙台市史 特別編8 慶長遣欧使節』がおすすめです!

支倉常長について何冊か読み、「実際の史料や研究まで確認したい」と感じた人には、『仙台市史 特別編8 慶長遣欧使節』がおすすめです。

内容は、国内外の文献史料、アマーティ著『伊達政宗遣欧使節記』、使節の往路・復路、国宝「慶長遣欧使節関係資料」、支倉常長の肖像画、カトリック王国との関係、徳川外交、贈答品など多岐にわたります。
関係年表と推定行程図も収録されています。

初心者が最初から最後まで通読する必要はありません。
この本は、一度読んで終わる入門書というより、他の本で疑問が生まれたときに必要な部分を調べる資料として使うと価値を生かせます。

例えば、「常長はスペインでどのように迎えられたのか」が気になれば海外史料を確認する。
「ローマ市公民権証書はどんな資料なのか」が気になれば国宝資料の章を見る。
このように疑問から章を選ぶ読み方ができます。

支倉常長は、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康などのように国内の合戦や政治だけで人物像を追える人ではありません。
日本側とヨーロッパ側、政治と宗教、文献と美術資料を組み合わせなければ全体像が見えにくいため、資料集の価値が特に高い人物です。

仙台市博物館に残る国宝資料も、本書では単なる「美しい文化財」として終わりません。
誰が持ち帰り、どのように伝わり、何を読み取れるのかを知ることで、実物を見るときの視点が変わります。

この本が向いている人を、簡単にまとめてみました。

この本が向いている人理由
支倉常長を本格的に調べたい人文献・美術・外交をまとめて確認できる
国宝資料に興味がある人慶長遣欧使節関係資料を詳しく読める
複数の研究者の論考を読みたい人テーマごとの研究へ進める
仙台市博物館へ行く予定がある人展示を見る前後の詳しい確認にも使える

 

逆に、この本が向いていない人を簡単にまとめてみました。

この本が向いていない人理由
支倉常長を初めて学ぶ人先に人物評伝や写真の多い本を読むほうが理解しやすいです
安い入門書を探している人6,285円の大型市史です
一人の著者による物語を読みたい人史料・論考を集めた専門的な構成です

7作品の中では最も詳しい本です。
支倉常長について一通り学んだあと、「自分で史料を確かめながら考えたい」と感じた段階で選ぶと活かしやすいでしょう。

 

⑦慶長遣欧使節を世界史の中で聴くなら、Audible『世界史の中の戦国大名』がおすすめです!

通勤・家事のスキマ時間に支倉常長の時代背景を広げたい人には、鹿毛敏夫『世界史の中の戦国大名』のAudible版がおすすめです。

このAudibleは支倉常長だけを取り上げた作品ではありません。
大友氏、松浦氏、島津氏、天正遣欧使節、伊達政宗の慶長遣欧使節などを通して、日本の戦国大名がアジアやヨーロッパとどのようにつながっていたのかを考える本です。

この作品を7選へ加えた理由は、常長の旅を「非常に珍しい一人の冒険」で終わらせないためです。
16世紀から17世紀初頭の日本では、大友氏など複数の大名が海外勢力との外交や交易に関心を持っていました。

その流れの中へ慶長遣欧使節を置くと、伊達政宗の構想がどのような時代に生まれたのかを考えやすくなります。
常長本人の評伝を読んだあとに聴くことで、一人の人生から日本と世界の関係へ視野を広げられます。

Audibleは、複雑な旅程や固有名詞を最初に覚える用途より、一度本で人物関係を整理したあとに使うほうが向いています。
紙の本で常長本人を読み、音声では同時代の国際交流を広げるという役割分担がおすすめです。

このAudibleが向いている人を、簡単にまとめてみました。

このAudibleが向いている人理由
通勤・家事中にも学びたい人8時間52分の音声を少しずつ聴ける
慶長遣欧使節の背景を広げたい人ほかの戦国大名の海外外交と比較できる
世界史も好きな人日本史と海外とのつながりを意識できる
人物評伝を一冊読み終えた人常長から同時代全体へ知識を広げられる

 

逆に、このAudibleが向いていない人を簡単にまとめてみました。

このAudibleが向いていない人理由
支倉常長だけを長時間聴きたい人戦国大名の海外交流全体をテーマにした作品です
常長の生涯を最初から順番に知りたい人人物評伝を先に読むほうが向いています
旅程を地図で確認したい人紙の本や写真の多い本との併用がおすすめです

支倉常長本人を学ぶための代用品ではなく、「なぜこの時代に仙台からヨーロッパへ使節を送る発想が生まれたのか」を広い視点で考えるためのAudibleです。
人物を知ったあとに聴くことで、慶長遣欧使節の位置づけが変わって見えてきます。

 

初心者におすすめの読む順番はこれ!

支倉常長を初めて学ぶなら、最初から専門的な外交史を読むより、「どこへ行ったのか」「誰から何を命じられたのか」「帰国まで何年かかったのか」を先につかむと理解しやすくなります。
特に常長の場合、日本とヨーロッパの人物・地名が同時に登場するため、読む順番によって難しさがかなり変わります。

私がおすすめする読む順番は、次の通りです。
それぞれの本を同じ目的で読むのではなく、段階ごとに注目する点を変えていきます。

順番本・Audibleこの段階で意識すること
①『伊達侍と世界をゆく』写真を見ながら旅程と移動距離をつかむ
②『支倉常長』旅の前後を含め、常長本人の生涯を整理する
③『ヨーロッパに消えたサムライたち』常長一人から使節団全体へ視野を広げる
④『侍』史実を知ったうえで使命や信仰を物語から考える
⑤Audible『世界史の中の戦国大名』慶長遣欧使節を戦国大名の海外外交の中に置く
⑥『支倉常長 慶長遣欧使節の真相』海外史料と日本側の理解を比べながら読む
⑦『仙台市史 特別編8 慶長遣欧使節』自分が疑問を持ったテーマを史料と論考で調べる

一冊目に『伊達侍と世界をゆく』を置いたのは、常長の場合は旅の規模を知ることが人物理解につながるからです。
宮城からメキシコ、スペイン、ローマまでの距離を写真と一緒に見てから人物評伝へ進むと、年表に並ぶ地名を具体的な土地として想像しやすくなります。

二冊目の『支倉常長』では、旅だけではなく、その前後を含む本人の人生を整理します。
この段階まで来れば、常長、政宗、ソテロ、スペイン国王、ローマ教皇という主要人物の関係もわかりやすくなるでしょう。

そのあと使節団全体へ視野を広げ、小説で人間の内面を考えます。
史実を先に知っているため、『侍』の創作部分を歴史的事実と混同せず、物語として味わえます。

最後の二冊は、すべてを通読することが目的ではありません。
「スペイン側では何が記録されたのか」「肖像画から何がわかるのか」「帰国後はどう考えられているのか」と自分の疑問が生まれてから読むほうが、専門的な情報を生かしやすくなります。

 

「紙の本」「Kindle」「Audible」はどれを選べばよいか…?

支倉常長を学ぶ方法は、紙の本だけではありません。
Kindle(電子書籍)やAudibleを組み合わせることで、長い旅程や世界史とのつながりを生活に合わせて学べます。

形式向いている人支倉常長を学ぶときの使い方
紙の本地図・年表・写真を確認しながら読みたい人旅程や人物関係をページを戻りながら確認する
Kindle(電子書籍)長編を外出先でも読みたい人電子版のある『侍』などを通勤中に少しずつ読む
Audible読む時間を確保しにくい人世界史の中で慶長遣欧使節の背景を補う

支倉常長について詳しく調べるなら、紙の本はかなり便利です。
仙台、月浦、アカプルコ、メキシコシティ、スペイン、ローマ、マニラなど多くの地名が出てくるため、地図や年表へ何度も戻りたくなるからです。

とくに『仙台市史 特別編8 慶長遣欧使節』のような資料性の高い本は、最初から最後まで読むより、必要な章や図版を開き直す読み方が合います。
旅程や史料を確認するときも、紙の本なら複数のページを行き来しやすいでしょう。

Kindleは、対応している作品を長時間持ち歩きたくない人に便利です。
『侍』は512ページありますが、電子書籍なら通勤中や外出先でも少しずつ読み進められます。

Audibleは、常長本人の細かな旅程を覚えるより、同時代の海外外交へ視野を広げるときに使うのがおすすめです。
人物評伝を読んだあと、『世界史の中の戦国大名』を通勤・家事のスキマ時間に聴けば、伊達政宗だけが突然海外へ目を向けたわけではなかったことが見えてきます。

紙では常長本人と旅程を確認し、Kindleでは物語を読み、Audibleでは世界史へ広げる。
このように媒体ごとに役割を変えると、同じ説明を何度も読むのではなく、新しい情報を積み重ねられます。

 

大河ドラマ『独眼竜政宗』・仙台市博物館・サン・ファン館とあわせて支倉常長を学ぶ価値とは

支倉常長は、本だけで学ぶより、映像や実際に残された資料と組み合わせることで人物像が大きく変わります。
戦国史では合戦跡や城を訪れることが多いですが、常長の場合は「海外へ渡った証拠となる資料」と「旅立った船」を意識して見ることが重要です。

映像作品では、1987年のNHK大河ドラマ『独眼竜政宗』に支倉常長が登場し、宮城県にゆかりの深い歌手・俳優のさとう宗幸さんが演じました。
伊達政宗を主人公とする物語の中で常長を見るため、慶長遣欧使節が政宗の政治や外交とどのようにつながっていたのかを映像から考えるきっかけになります。

大河ドラマを見たあとに歴史書へ進む場合は、ドラマの会話や人物の感情をそのまま史実と考えず、実際の外交目的や旅程を公式資料で確認するのがおすすめです。
物語で人物に関心を持ち、史料で事実を確かめるという二つの楽しみ方ができます。

実物資料を見るなら、まず仙台市博物館です。
同館は国宝「慶長遣欧使節関係資料」を所蔵しており、支倉常長像、ローマ市公民権証書、ローマ教皇パウロ5世像をはじめ、常長が持ち帰った資料が残されています。

2026年度の常設展示では、国宝・ユネスコ「世界の記憶」の「支倉常長像」が通期展示とされています。
黒い服を着てロザリオを持ち、十字架上のキリストへ祈る姿が描かれた肖像画で、仙台市博物館では実在の日本人を描いた現存する油絵として最古の作品と説明しています。

この肖像画を本で見たあと、実物を見る価値は大きいと思います。
教科書の人物写真のように眺めるのではなく、「7年間の旅をした本人がヨーロッパから持ち帰った肖像」と知って見ると、400年前の出来事との距離が近く感じられます。

もう一つ訪れたいのが、宮城県石巻市の宮城県慶長使節船ミュージアム「サン・ファン館」です。
慶長遣欧使節の旅路と、一行を乗せて太平洋を渡った木造洋式帆船サン・フアン・バウティスタ号を中心に紹介する博物館です。

サン・ファン館では、1613年に石巻・月浦から旅立った使節を、「ローマへ行った」という結果だけではなく船出から考えられます。
飛行機で数時間移動する現在とは違い、太平洋を木造帆船で渡るところから旅が始まったことを知ると、常長たちが背負った危険も想像しやすくなります。

仙台市博物館では「常長が持ち帰ったもの」を見る。
サン・ファン館では「常長がどのように旅立ったのか」を考える。
この二つを本と組み合わせると、慶長遣欧使節を出発と帰国の両方から学べます。

織田信長や豊臣秀吉、徳川家康などを中心に戦国史を学んできた人にとっても、支倉常長は新しい視点を与えてくれる人物です。
戦国時代から江戸時代への変化を国内の統一だけで見るのではなく、日本と太平洋、アメリカ大陸、ヨーロッパがつながっていた時代として見るきっかけになります。

 

支倉常長の本選びで迷ったら、まずこの1冊!

支倉常長の本選びで迷ったら、まず五野井隆史『支倉常長』から読むのがおすすめです。
常長本人を中心に、生涯と慶長遣欧使節を一続きで確認できるため、最初の段階で「旅だけ詳しい」「伊達政宗の外交だけ詳しい」という偏りが生まれにくいからです。

支倉常長を理解するとき、最初に必要なのは細かな海外外交の知識ではありません。
どのような立場で旅に出て、どこを通り、何を求め、どのような日本へ戻ったのかを順番に知ることです。
その基本ができると、次の本で情報が増えても整理しやすくなります。

文字中心の人物評伝から始めるのが負担に感じる人は、『伊達侍と世界をゆく』を先に選んでもよいでしょう。
写真と現在の風景から旅の規模を知り、そのあと『支倉常長』へ進めば、人物と場所を結びつけながら読めます。

歴史小説が好きな人なら『侍』から関心を持つ方法もあります。
その場合は、常長本人をそのまま描いた伝記ではないことを頭の中に入れておき、読後に人物評伝で史実を確認するのがおすすめです。

一方、『仙台市史 特別編8 慶長遣欧使節』は最初の一冊として買う必要はありません。
支倉常長について知りたい疑問が具体的になってから使うことで、625ページの情報量を生かせます。

 

【まとめ】支倉常長を初心者が学ぶなら、7年間の旅だけでなく「なぜ旅立ち、何を持ち帰ったのか」まで読みましょう!

支倉常長を初心者が学ぶなら、「日本人として早い時期にヨーロッパへ行った人」と覚えるだけではもったいありません。
大切なのは、伊達政宗が何を求めて使節を送り、常長がどのような役目を任され、その間に日本とヨーロッパの状況がどう変わったのかを見ることです。

常長はスペイン国王やローマ教皇へ会い、ローマ市民権を得ました。
それでも、メキシコとの直接貿易や宣教師派遣という使節の目的は実現しませんでした。
目立つ肩書きと、外交の実際の成果を分けて考えることが、この人物を理解するうえで重要です。

一方、常長が歩いた歴史が消えたわけでもありません。
本人が持ち帰った肖像画やローマ市公民権証書などが現在まで残り、国宝やユネスコ「世界の記憶」となっています。
外交交渉の結果だけを見れば達成できなかった部分が多くても、400年以上後の私たちは、その資料から当時の日本と世界のつながりを知ることができます。

私は支倉常長を読むと、「結果が出なければ、その仕事に意味はなかったのか」と考えます。
7年間をかけても当初の目的は実現しませんでした。
それでも常長が外国へ渡り、見たもの、持ち帰ったもの、海外に残した記録は、その後の時代へ伝わっています。

人生では、自分の努力だけでは変えられない状況もあります。
出発したときには可能だった話が、何年か後には政治や社会の変化によって成立しなくなることもあります。
常長の人生には、そうした変化の中でも任された役目を続けた一人の人間を見る面白さがあります。

まずは五野井隆史『支倉常長』で本人の生涯を知り、次に写真、使節団、歴史小説、世界史、海外史料へ広げてみてください。
支倉常長から伊達政宗、キリスト教、大航海時代、江戸幕府の外交へ進んでいくと、日本史と世界史が別々のものではなかったことも見えてくるでしょう。

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